• TOP
  • コラム
  • 財政検証でわかった年金の未来 現在50歳は880万円減、45歳は863万円減

コラム

2019.09.12 07:00  マネーポストWEB

財政検証でわかった年金の未来 現在50歳は880万円減、45歳は863万円減

生涯年金はこんなに減らされる

 厚生労働省が8月に発表した年金財政検証は、「年金の未来予想図」だ。「現行の年金制度は、一定の経済成長などが進めば将来的に夫婦の年金額が現役サラリーマンの平均手取り給料の50%を割り込むことはない」──それが今回の検証の結論だった。

 だが、その説明にはトリックがある。年金は「もらい始める前」と「もらい始めた後」の2段階で減らされていく。現役世代の保険料負担を減らすため、賃金・物価の上昇に対し、年金の上昇が抑制される仕組みがあり、そのため実質的に年金額が目減りしていくのだ。

 65歳の受給開始時点の年金額は毎年、少しずつ減らされる。そのため、若い世代ほど安くなる。厚労省の「現役サラリーマンの給料の50%が維持される」というのは、この受給開始時点の年金額のことだ。

 それに加えて同様に、受給開始後も、毎年、年金額が減っていく。だから、いずれ50%を割り込むのは確実なのである。

 注意したいのは、そうした二重の減額は、現行制度において確実にやってくる未来であり、それとは別にさらなる改悪が待ち受けていることだ。

「年金大減額時代」に備えるために、まず、すでに年金を受給している世代も、これから年金を受給する世代も、自分の年金が何年後にいくらになるのか、その金額を把握しておく必要がある。

 財政検証の付属資料には、今年65歳で年金受給が始まった標準モデル世帯(40年間の平均賃金で厚生年金に加入した夫と専業主婦の妻)の「月額22万円」を基準に、年齢別の「夫婦の年金額」が65年先まで1年刻みで試算されている。

 表は厚労省試算のうち、現在40歳から65歳の人の年齢別年金額を5年刻みに簡略化したものだ(現在の物価、賃金水準に換算した実質額)。

 たとえば、今年65歳の夫婦の年金は月額22万円から、70歳になる5年後には21.5万円へと月5000円(年6万円)減らされる。10年後には月1万4000円減、15年後には月2万円減と毎年減額幅は大きくなり、90歳になる2044年には月額2万9000円(年約35万円)も減らされる。

 66歳以上の年金受給世代の将来の年金額は、厚労省の財政検証資料では試算されていないが、計算していくと65歳世代と同程度の金額が減らされることがわかる。

 この表からあなたの“生涯年金額”と、老後30年間でもらえたはずの年金がいくら減らされるかも推計できる。

 夫婦の年金が22万円の65歳の世代は、年金額がそのままであれば95歳までの30年間の“生涯年金額”は7920万円のはずだったが、そこから約680万円もカットされてしまう。これが最も減額が大きい現在50歳の世代になると二重の減額によって880万円も少なくなる(表参照)。

 当然、その分、老後資金の不足額は大きくなることを覚悟しなければならない。

 今年6月の金融庁報告書では、公的年金だけに頼って暮らすと毎月5万円の赤字が生じることから、「老後30年間で、2000万円不足」と弾き出しているが、これはもらえる年金額は一定という前提だった。

 しかし、現実には厚労省自ら年金を毎年減らしていくことを明かしているのだ。現在65歳の世帯ならざっと2700万円、50歳世帯は将来的に2800万円不足すると考えておくべきだ。

※週刊ポスト2019年9月20・27日号

関連記事

トピックス