大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

日産自動車、再建のためにはルノーと手を切り三菱自の吸収合併を

日産はどうやって生き残っていくべきか(イラスト/井川泰年)

日産はどうやって生き残っていくべきか(イラスト/井川泰年)

 日産自動車の西川広人社長が不正報酬問題で辞任を表明した。業績も低迷し苦境が続く日産は、どうすれば復活できるのか? 1980年代に日産の経営再建に携わった経験がある経営コンサルタントの大前研一氏が、現在の日産が生き残る方法を指摘する。

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 日産自動車は7月下旬の2019年4~6月期決算発表以降、株価の下落傾向が続いている。それは当然だ。なにしろ同決算は、営業利益が前年同期比98.5%減の16億円、当期純利益が同94.5%減の64億円という衝撃的なものだった。辛うじて黒字は確保したものの、今後は2020年3月期までに世界8拠点で6400人、2023年3月期までに残り6拠点で6100人の合計1万2500人を削減するという。

 しかし、今回の日産の無残な業績を見ると、その程度のリストラでは全く間に合わないだろう。

 では、もし私が社長の立場だったらどうするか? 至難の業ではあるが、今のうちにルノーときっぱり手を切る。

 具体的な方法は、まずゴーン前会長の罪状を証拠とともに全面公開し、そういう人間を派遣して監督責任を怠ったルノーの非を認めさせる。その上で、もはやルノーとのアライアンスを維持するのは社内的にも対外的にも無理だし、ましてや経営統合を進めるのは不可能だから金で解決しましょう、と提案する。

 つまり、ルノーが保有している43.5%の日産株を買い戻すのだ。いわば“手切れ金”である。そして、たとえば5年間はフランスとブラジルのルノー工場で日産車の生産を継続し、その後については改めて両社で協議する。アフトワズについては日産の持ち分をルノーに売却する──。これしか手立てはないと思う。

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