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2019.09.13 15:00  マネーポストWEB

クレヨンしんちゃん「野原家」に憧れの家族像を見るアラサー世代

『クレヨンしんちゃん』には理想の家庭が描かれている?(4月の映画公開イベントの様子。右はあいみょん)

 30代で庭付き一戸建て、マイカー、夫婦に子ども2人、犬1匹──。アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原家のスペックだ。当時の“普通の家族像”は今や“理想”ともいえる存在になっているようだ。

『クレヨンしんちゃん』は、臼井儀人氏が1990年に『漫画アクション』(双葉社)で連載を開始。1992年にはアニメがスタートし、今年で28年目に突入した長寿番組だ。そんな国民的アニメを放送当時から見続けてきた子どもたちは、野原ひろし(35)、みさえ(29)と同じアラサー世代になってきている。大人になった彼らは今、何を思うのか。

 30代男性会社員・Aさんは大学卒業後、粛々とサラリーマン人生を送る中で「ひろしには遠く及ばない」と苦笑いする。

「放送開始当時は小学生で、特に何も思わず、野原家のような家は“当たり前”だと思っていましたが、ひろしって、どう考えてもスペック高いですよね? 30代妻子持ちで、郊外とはいえマイホームも購入している。僕の年収は間違いなくひろしより低いと思います(笑)」

 アニメでは、ひろしが手取り30万円で、みさえから「安月給」と言われているようだが、ボーナスも含めれば年収は500万~600万円はあるのではないかと推察される。しかも、東京・日本橋(※霞ヶ関という設定も)の商社の営業部係長で、部下からは慕われ、上司からの信頼も厚い。

「僕は大卒でも年収400万円後半で、役職も名ばかり。遠い夢物語を見ているような感覚に陥ります。でも、これって当時の日本の“標準”だったわけですよね? 確かに僕の60代後半の父親が、なんとなくひろしのスペックに近い気もします。すごく羨ましいですね。僕は、このままだと結婚もマイホームも縁のない人生になりそうです……」(Aさん)

 お茶の間に笑いを常に提供してきた『クレヨンしんちゃん』だが、「下品」「教育に悪い」などと批判されることも少なくなかった。実際、日本PTA全国協議会の「子どもに見せたくない番組」の上位が定位置だったのだ。

「観る人によっては確かに下品なところもあるかもしれないけれど、人として大切なものが描かれている」というのは、30代女性会社員のBさんだ。

「当時は内容が下品だし、しんちゃんの口調を真似る子も多くて、『見ちゃいけない』と言われている家庭も周りにありました。私の親もあまりいい顔はしていませんでしたね。でも、ひろしの父親としての誇りと愛、家事を見事にこなすみさえのすごさと大変さ、しんちゃんたちの友情、そして何より家族愛や家族の団結が描かれているのは、何よりステキ。特に映画はイメージが違います。“泣けるしんちゃん”でかなり印象が変わった人も多いはず。こういう温かい家庭を私も築きたいなって思います」

 Bさんはみさえのように専業主婦に憧れた時期もあったが、今は共働きを前提に、ひろしに近い男性を探しているという。

「みさえの朝のカオスな働きぶりを見ると、専業主婦はものすごく大変。だからせめて、ひろしに近い男性と結婚したい。大手企業でなくても安定企業の正社員で平均所得、仕事熱心だけど家族思いの男性……。でも、そんな男性はいてもすでに結婚していますよね。みさえがすごく羨ましい。足が臭いことなんて、全然目をつぶれます(笑)」(Bさん)

 30代男性会社員・Cさんは、大人になった今あらためて、「ひろしは子どもと一緒にご飯を食べられる時間に帰宅できていいな」というのが本音だ。

「野原家っていいですよね。ひろしはほぼ定時退社、愛妻のみさえが作った料理を食べながらビールをすする。子どもとお風呂も一緒に入れる。昔は当たり前の光景だったのでしょうが、今となっては、どちらかといえば“余裕のある”家庭。もはや多くの人にとっては憧れや理想の家族の対象だと思います」

 同じ国民的アニメでは、『サザエさん』の磯野家・フグ田家のように親子孫三代で一戸建てに暮らすというライフスタイルも、今ではほとんど見かけなくなってきている。時代とともに平均的な家族像のスタイルは変容しているが、アラサー世代にとっては『クレヨンしんちゃん』の野原家が憧れの家族像として身近に感じられるようだ。

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