ライフ

親の介護をした「嫁」への財産分与 実際には高いハードルが

仲の良い家族でも相続にはトラブルがつきもの

 これまでは「長男の嫁」が義父の介護に身を尽くしても、遺言書に記載がなければ法的には遺産を一切受け取れなかった。それが今年7月からのルール改正により、義父を介護するなど「特別の寄与」がある親族は、相続人全員に対して財産分与を請求できるようになった。

 だが円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏は、「実際に適切な対価を得るには高いハードルが残る」と指摘する。

「家庭裁判所に申請し、特別な寄与が認められれば、『介護職員を雇った場合にかかる金額×療養介護を行なった日数×裁量割合』との計算式で寄与分の金額が算出されます。しかし1年以上自宅での介護が続き、その間は無報酬で介護をしていた客観的証拠がある場合にのみ特別な寄与が認められるなど、様々な条件をクリアする必要がある」

 もらえると思った寄与分がもらえなかったことにより、家族内に亀裂が入るリスクがある。だからこそ、「事後」よりも「事前」に解決しておきたい。

「介護の代償を求めたい家族の一員がいる場合、介護されている人も含めた家族全員で話し合いをしておき、遺言書に『介護してくれた長男の嫁に〇〇円を与える』など明記してもらうことが最善策です。親の側が介護をしてくれた人に寄与分を生前贈与しておくという手もあります」(橘氏)

※週刊ポスト2019年9月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン