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ラグビー元日本代表・大八木氏が語る「代表キャップ」の秘話

ニュースでよく聞く「代表キャップ」は「小さな帽子」だった(AFP=時事)

 いよいよ開幕が迫ったラグビーワールドカップ日本大会。注目の日本代表も精鋭31名の最終登録メンバーが発表されて、9月20日に東京スタジアム(調布市)で行われるオープニングマッチのロシア戦を待つばかりだ。

 ラグビーの魅力は何といっても激しい肉弾戦。いかつい男たちがゴツゴツと体をぶつけて楕円形のボールを奪い合うさまはド迫力この上ないが、そんな男たちが最高の栄誉として喉から手が出るほど欲しがる「小さな帽子」があることをご存じだろうか。

 それは、日本代表としてテストマッチ(ナショナルチーム同士の国際試合)に出場した選手ひとりひとりに与えられる「キャップ」のこと。

 紅白のフエルト生地に綿の裏生地で作られた本物の帽子で、前面には赤の生地にゴールドで「JRFU(*注)」の刺繍が入り、後面には歴代何番目のキャップホルダーであるかを示す通し番号が刻まれる。被るのではなく飾ることが目的であるため小さめに縫製され、オンリーワンの重みを出すべく、過去から現在にいたるまでデザインと色、素材を統一している。

【*注:JRFU/「日本ラグビーフットボール協会」の略称】

 キャップが授与されるのは1度のみで、以降は5試合出場するごとに金色の星のワッペンが贈られる。選手はそのワッペンを自ら帽子に縫い付けることになる。

 そもそもキャップ制度は、ラグビー発祥の地であるイギリスで、中世に学問に功績のあった人に帽子を贈ったことが起源とされる。明治4(1871)年に行われたイングランド対スコットランド戦では、早くも出場メンバーにイングランドラグビー協会からキャップが贈呈されたというから、「母国」の歴史の長さには驚くばかりである。

 イングランドから遅れること100余年、1982年12月に日本ラグビーフットボール協会は「キャップ表彰制度」の採用を決定した。この時、ラグビーの日本代表が初めて海を渡った昭和5(1930)年9月24日のカナダ遠征第6戦・カナダBC州代表選から、1982年11月27日の第8回アジア大会・韓国戦までの77試合を過去にさかのぼってキャップ対象試合とすることが決まり、以降、今年9月6日に熊谷ラグビー場で行われた南アフリカ戦までに664人が名誉あるキャップホルダーとして桜のジャージに袖を通した。

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