芸能

おぎやはぎの「ブス」テレビ ひな壇のブスをどう集めるのか

スタッフには決定的な優しさを(イラスト/ヨシムラヒロム)

スタッフには決定的な優しさを(イラスト/ヨシムラヒロム)

 女性に「ブス」と言うことは、面と向かってはもちろん、話題にすることすら避けるのが普通だ。ところが、堂々と番組タイトルに掲げたトークバラエティ『おぎやはぎの「ブス」テレビ』(AbemaTV)は、番組タイトルの強烈さにも関わらず、2017年1月から現在に至るまで、月曜夜9時に最新話が配信され続ける人気番組となっている。芸人のおぎやはぎが司会をつとめ、ひな壇には約10人の「ブスの皆さん」が座り、ゲストも交えて毎回、「ブス」をテーマにしたトークが繰り広げられる。コンセプトは「ブスの、ブスによる、ブスのための番組」。身近な事項にも関わらず扱いが難しい「ブス」をテーマに、悩みを真正面から捉え、見事に笑いへと転化させる番組はどのように生まれ、続いているのか。「ブス」番組の魅力と継続の秘密について、株式会社AbemaTV 番組プロデューサー・濱崎賢一氏にイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が聞いた。

 * * *
──2017 年 1 月にスタートした『ブステレビ』ですが、番組はどのようにして誕生したんですか?

濱崎:『ブステレビ』の発案者は僕じゃないんですよ。元は制作会社の持ち込み企画でした。ただ、一度目に出したときに企画書は通らなくて。しばらくしてから「もう 1 回、出したい」と言われ、二度目で決まった番組なんです。個人的に、番組開始当初は『ブステレビ』に特別強い思い入れがあったわけではなかったのですが、担当番組のひとつとしてきちんとやろう、と思いながら取り組んだことを覚えています。けれども、年数を重ねていくうちに番組愛が強くなっていきましたね。

──すごく失礼なことを聞いていいですか。『ブステレビ』って一体誰が観ているんですかね?身近に視聴者がいないんですよ。

濱崎:大丈夫です、少なくない人が見てくれているのは調査で分かっているのですが、僕も『ブステレビ』を観ていると言ってくれる人に会ったことがないですから(笑)。番組を立ち上げる時も、誰が観るのだろうか想像はつかなかったです。ネットにも視聴率のようなデータがあるのですが、それを見ると、視聴者は女性が55%くらい、視聴者全体では34歳以下の女性が視聴者全体の40%を占めていて、正直意外でした。番組に寄せられたコメントを読む限り、仕事などが忙しくてお疲れ気味のアラサー女性が多いみたいですね。

──番組を観ていますと言う人が少ないのは、外で観るのではなく、家でこっそり楽しむ番組だからかも知れません。それにしても「ブス」だけをテーマに 2 年以上、番組が続いていることに驚くのですが、当初はここまで続くと想像していましたか?

濱崎:最初は難しいかなぁと考えていました。しかし、続けていくうちに「ブス」というテーマの普遍性に気づいたんです。ブスという形容は他人に対して抱きやすい感情だけど、自分でも「うわぁ、今の自分ってブスだなぁ……」と思うことがある。どんな人にもブスな瞬間があるから、ある種、永遠に話せるテーマなんですよ。

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