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医療費削減するための「予防医療」政策で実は医療費が増える

関心が高まる予防医療だが…

 健康寿命を延ばすための「予防医療」に関心が高まっている。予防医療とは、病気の発症を未然に防ぐ取り組み全般を指し、生活習慣病を防ぐための運動指導やサプリの摂取、人間ドックやがん検診などが知られている。

 政府の未来投資会議で「疾病・介護予防」を推進する方針が打ち出され、安倍首相も「これからの医療は『予防』にインセンティブを置き、医療費削減に繋げる」と公言している。だが、医療経済学者や医師の間からは「逆に医療費が増える」と批判があがっている。予防医療に詳しい中村康宏・虎ノ門中村康宏クリニック院長が語る。

「予防医療自体を否定するつもりはありませんが、むやみに取り組むと必要のない医療費が発生する。例えば60代の健康な男性が病気予防のためにビタミン剤を飲むことを考える。ビタミン欠乏症などの患者が病院でビタミンCの錠剤の処方を受ければ保険適用されるが、病気もないのに処方して貰えば保険適用外で医療費は高くなる。

 サプリには風邪の予防や、冷え性、肩こりなど複数の効果を謳ったものが多く、いくつもの商品に飛びつく人が多い。結局、予防医療という言葉に踊らされて複数のサプリを買い込み、支払額が大きくなるのです」

 健康予防で「不健康」になるリスクも要注意だ。

「一例が、コレステロールや不飽和脂肪酸を減らす効果を謳う『健康オイル』です。最近これがブームですが、結局は油だからカロリーが高い。健康のためにと使い過ぎるとカロリー過多で生活習慣病のリスクが高まります。生活習慣病になれば、医療費がさらにかかることになる」(中村院長)

※週刊ポスト2019年10月11日号

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