厚生労働省の調査(2016年「国民生活基礎調査」)によれば、「肩こり」は女性が悩む症状の1位に挙げられている。しかし多くの人の場合は「マッサージや鍼に行かないと」と考える程度だろう。ひどくなって病院を受診するとしたら整形外科が思い浮かぶかもしれないが、原因によっては効果が得られない場合もある。
「肩こりが別の不調と一緒に起こっているのならその“別の不調”に該当する診療科に行きます。たとえば頭痛と肩こりならば頭痛外来や脳神経外科に、眼精疲労と肩こりなら眼科で診てもらいましょう」(増田さん)
単なる肩こりと甘く見ると危険だ。一刻を争う病気のサインとして出ている可能性もある。総合診療医で亀谷診療所院長の亀谷学さんはこんな指摘をする。
「肩の症状は、内臓の病気からくることがあります。胸痛や胸が締め付けられる感覚と同時に、左肩の痛みや左腕のしびれ、歯茎・頬の違和感や痛み、冷や汗などを伴えば、狭心症や心筋梗塞の可能性がある。その場合、一刻も早く循環器科の専門医に診てもらうべきです。
また、肩こりに左右差がある場合も要注意。右肩の痛みなら胆嚢炎(たんのうえん)や胆石症などが疑われます」
そのほか、大動脈解離や大動脈瘤破裂などの重篤な病気の可能性も考えられるが、それらは比較的レアケースだという。
「ほかの症状を伴わない肩こりは、肩甲骨周囲の筋肉の緊張や、頸椎の病気の可能性がある。姿勢の問題や運動、枕が合っているかなども含めて、整形外科やリハビリテーション科などの受診をすすめます。
もちろん、更年期障害でも頑固な肩こりに悩む患者さんはたくさんいます。その場合も、はじめから婦人科にかかるのではなく、ほかの病気を見逃さないためにも、整形外科や総合診療科などを受診されるのがいい」(亀谷さん)
※女性セブン2019年10月24日号