「名医がいる病院」「いいクリニックの見分け方」。テレビや雑誌ではこうした情報が日々、提供されている。確かに、腕がいい医師がいて最新機器がそろった病院を選べば、質の高い医療を受けることができる。しかし、その治療内容が、根本的に違えば元も子もない。
たとえば、単なる頭痛だと思っていたが、専門医に見てもらわなかったがために、その原因がわからず、症状が治まらない…なんていうこともあるだろう。
また、 慢性的な頭痛で、鎮痛薬を手放せないという人も多いはずだが、そんな行為も危険をはらんでいる。寺本神経内科クリニック院長の寺本純さんが説明する。
「頭痛には、大きく分けて慢性頭痛と、ほかの病気に由来する頭痛があります。後者の原因の1つが最高血圧200mmHg以上が目安となる重度の高血圧です。血圧が高くなると脳の圧が高まって頭痛を引き起こす。逆に、脳脊髄液減少症という病気の場合だと脳の圧が下がることによって痛みが起きます」
寺本さんによれば、原因を見極める自己診断方法があるという。
「横になると頭痛が軽くなり、立ち上がると痛むものを『起立性頭痛』といいますが、この場合は脳脊髄液減少症によるものの可能性が高い。一方、横になると痛みが出るが、立ち上がると楽になるものは脳に腫瘍ができて起きる頭痛である可能性が出てきます」
高血圧由来の頭痛であることが疑われる場合は、内科の受診が最適解になる。総合診療医で亀谷診療所院長の亀谷学さんはこう話す。
「血圧が180/120mmHg以上で頭痛や意識障害、体位に無関係のめまいなどを感じる時は、『高血圧性緊急症』の可能性があります。内科か救急外来の受診が必要です」
過去には、「かぜによる頭痛」と診断されたものが、実は軽度のくも膜下出血を起こしていて、その後に患者が亡くなったケースもあると亀谷さんが明かす。
「くも膜下出血は小さな出血ではわかりにくい場合もあるのですが、通常は今まで経験したことのない激しい頭痛が“ある時点から”始まったと訴える。こんな時はためらわずに救急車を呼んでほしい」
ちなみに、以前から同じような頭痛を繰り返す慢性頭痛の場合は、神経内科か脳神経外科、または頭痛外来などへの受診がすすめられる。
「なかでも『頭痛外来』のような頭痛の専門家がいるところの方が的確なアドバイスが得られることが多い。考えられるさまざまな原因から、可能性を幅広く探ってくれます。ほかの科で診てもらっても、片頭痛であれば画像検査をしても異常なしとされることが多いからです」(医療ジャーナリストの増田美加さん)
※女性セブン2019年10月24日号