• TOP
  • コラム
  • あおり運転事件容疑者のマンション「駐輪場変更」は妥当だったか

コラム

2019.10.14 07:00  マネーポストWEB

あおり運転事件容疑者のマンション「駐輪場変更」は妥当だったか

マンションの駐輪場は所有者が勝手に場所を変更してもよいのか(イメージ)

 集合住宅には必ず共用スペースがあるが、個人所有の建物なら共用スペースを勝手に変更してもよいのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 いわゆる“あおり運転殴打事件”の容疑者に関する一連の報道で、不審に思ったことがあります。それは所有するマンションの駐輪場を彼が勝手に入り口付近に変更したこと。確か、共用スペースを変更する場合、住人の4分の3以上の賛成が必要なはず。オーナーマンションでは、変更のシステムが違うのでしょうか。

【回答】
 マンションなどの集合住宅の共用スペースの用途を変更する場合に、法律上の規制があるのは、マンションの居室ごとに、所有者がいる区分所有建物の場合です。区分建物では、各区画である専有部分以外は、区分所有者全員が一定の割合(多くの場合、専有部分の床面積の割合)で共有しています。

 共用部分に変更を加えるときは、ご指摘の通り原則として区分所有者の頭数と持分割合で決まる議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要です。規約で可決要件を過半数まで下げることは可能ですが、当該変更により、特別に不利益を受ける区分所有者の同意も必要とされています。

 しかし、問題にしておられるマンションは、区分所有建物のマンションではなく、オーナーが単独で所有し、各部屋を賃貸に出している賃貸マンションのようです。この場合、駐輪場の提供が賃貸借契約の条件かがポイント。契約書に書いてあればもちろんのこと、入居者募集広告に駐輪場アリ、として宣伝した場合、駐輪場の提供は契約上の家主の義務です。

 また、屋根やサイクルラックなど駐輪場の設備が備わった施設があり、現に住民が駐輪場として使用している場合も同様で、家主が住民の同意なく、突然使用を妨害すると、債務不履行になります。損害賠償請求や家賃の減額請求を受けることになるでしょう。ただし、単に空きスペースに住民が自転車を置いているだけだと、駐輪場提供が家主の義務になっているか疑問です。

 家主の実力行使は許されませんが、自転車の撤去を裁判で請求できます。もっとも駐輪がマンション経営に支障がなく、反面、自転車利用が入居者の日常生活に不可欠なケースでは、撤去請求が権利濫用だとされ、認められない案件もあると思います。

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

関連記事

トピックス