これからの夢は、長く天文現象に関わる中で魅了された皆既月食を世界各地で見ることだ。イースター島で初めて見たダイヤモンドリングがきっかけとなり、これまで世界7か国へ飛んだが、近々で目指すのは2035年の日本。北陸から北関東で見られるときを楽しみにしている。
映画人生62年。日本映画界屈指の名キャメラマンであり、67歳にして覚悟を決めて監督をやることにした木村大作氏(80)は、傘寿を迎えてもなお、映画人そのもの。
「僕は今、人生の終末を歩いている、いつ死んでもいいんだ、という思いはある。だけどね、僕にとってただ生きているのは死と同じなんだ。やっぱり映画が作りたい。映画のことしか頭にないからね」
撮影も兼務した監督作品は、『劔岳 点の記』(2009年)、『春を背負って』(2014年)、『散り椿』(2018年)の3作。いずれも自然の映像の美しさは無論、全身全霊をかけて人の心を映し出した作品に悔いはないと語るが、それでも頭の中には次々と企画が湧き上がってくる。
「今は自分の歴史の中で題材にしていないもの、僕のピントに合う題材を探す旅の途中だね。この生き様は苦労も背負うけど、僕の理想の人生である」
●取材・文/下川良子(スペース・リーブ)
■渡辺達生作品展『寿影』
・10月4日(金)~17日(木)11時~19時
・ソニーイメージングギャラリー銀座:東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階
※週刊ポスト2019年10月18・25日号