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2019.10.25 16:00  週刊ポスト

【井上章一氏書評】大学の外で輝きを放つ研究者の寄稿集

『在野研究ビギナーズ──勝手にはじめる研究生活』/荒木優太 編・著

【書評】『在野研究ビギナーズ──勝手にはじめる研究生活』/荒木優太 編・著/明石書店/1800円+税
【評者】井上章一(国際日本文化研究センター教授)

 学者のつどう学界にも、いわゆる学界政治はある。学術的な当否だけで、研究者が自分のとるべき行動を、きめているわけではない。処世上の思惑や出世への打算も、彼らの振舞を、大なり小なり左右する。

 学会の集まりで、老大家がとりまきの大学人たちからちやほやされている。編者は、在野の研究者だが、そんな光景に違和感をいだくという。大学の学問はみな愚劣だと言う山本哲士にインタビューを敢行したのも、そのためか。

 大学に職を得なかった研究者たちの文章を、この本は十四点あつめている。インタビューの記録も、さきほど紹介した山本のそれをふくめ、三点ある。さまざまな角度から、大学という制度の外で、どのような学問がなりたつのかを問うている。

 くりかえすが、編者にはアナーキーな志もあったようである。あと、野良研究者を自負する寄稿者のひとりにも、その気概はあると見た。そして、これを書いている私じしんも、その気分はよくわかる。まあ、大学の中にもぐりこんだ私などから、そんなことは言われたくないかもしれないが。

 しかし、ほとんどの論者は、学界を肯定的にながめている。大学に所属しなくても、かくかくの貢献をはたすことができた。しかじかの研究仲間が見つかり、たがいにはげましあうこともできている。ここにおさめられているのは、おおむねそういう文章である。

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