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2019.11.08 06:46  産経ニュース

紀州のドン・ファン遺産13億円どうなる? 相続の田辺市に難問

紀州のドン・ファン遺産13億円どうなる? 相続の田辺市に難問

 和歌山県田辺市は9月、昨年5月に急死した「紀州のドン・ファン」こと同市の酒類販売会社元社長、野崎幸助さん=当時(77)の遺産を受け取る方針を発表した。総額13億円超という高額の寄付は市にとっても願ってもない事態だが、相続にはまだ必要な手続きや協議が山積している。世間を騒がせた野崎さんの死から1年半。巨額の遺産はどうなるのか。

 野崎さんは昨年5月、自宅で意識を失っているのを妻が見つけ、死亡が確認された。死因は急性覚醒剤中毒だった。野崎さんは生前、薬物にまつわる噂がなかったといい、不審な死は連日ワイドショーを騒がせた。いまだ死の真相ははっきりせず、和歌山県警が慎重に調べている。

 貸金業や酒類販売業など複数の事業を営んでいた野崎さんは資産家としても知られ、派手な女性関係から欧州の伝説の放蕩(ほうとう)児になぞらえて「紀州のドン・ファン」と呼ばれていた。平成28年には、かつて交際していた女性に計約6千万円相当の金品を盗まれたことが報じられ、同年や30年には自身の半生をつづった著書も出版していた。

 そんな野崎さんの突然の死から1年以上が経過した今年9月13日、田辺市は、野崎さんが全財産を市に寄付するとした遺言書が見つかり、遺産を受け取る方針であることを明らかにした。唐突に思える発表だが、実は市は受け取りに万全を期すため、1年以上かけて準備を進めていた。

負債もあった

 市が和歌山家裁田辺支部からの通知で野崎さんの遺言書の存在を確認したのは昨年8月だった。同9月には遺言書が形式的な条件を満たし、市が遺産を受け取れる立場であることを確認した。

 通常、相続人が遺産相続について判断するには3カ月の熟慮期間が設けられるが、今回は個人の遺言で市に財産が寄付されるという初めての事態の上、資産家である野崎さんの不審な死が世間を騒がせていただけに慎重な判断が必要と考え、家裁に熟慮期間の延長を3回申し立てていた。

 市はその間に相続財産管理人の調査を終え、今年7月には約13億2千万円という遺産の全容を把握。負債も含まれているが、受け取ることが市民の利益につながるとし、相続する方針を固めた。

 9月末には、3380万円の弁護士委託料などを含む計6540万円を計上した補正予算案が市議会で可決され、相続に向けての準備を本格化させた。

使い道は未定

 しかし、まだまだ解決すべき問題は多い。遺産相続に当たって市は万が一、野崎さんの遺産額を上回る負債が新たに見つかっても相続財産の範囲内で負債を清算する「限定承認」という相続方法を選択。最終的な遺産額が確定した後に、遺留分を申請している野崎さんの妻と遺産の分割協議に入るという。

 このうち、限定承認において、野崎さんの負債に貸金業の債務があることなどから、市の担当者は「清算には思った以上に時間がかかる」と明かす。

 また、遺産には市内の土地建物など活用の難しい不動産が含まれており、これらの処理をどうするかも検討する必要があるという。市が最終的に受け取れる遺産額や相続時期が決まるのは、これらの手続きが全て終わってからになる。使い道はまだ決まっていない。

 市の担当者は「今は限定承認が今年度内に終わってくれれば、という状態。相続までにはまだまだ時間がかかりそうだ」と話す。

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