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コラム

2019.11.08 15:00  マネーポストWEB

名誉ある盾や勲章を売買して処罰されることはあるのか?

勲章や盾、トロフィーを売買すると罪に問われるケースはあるか?

 アメリカのネバダ州といえばラスベガスがあることで有名だが、そのネバダ州では勲章や盾、等の売買はNGだという。同様の行為をした場合、日本でも処罰されるのか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 アメリカのバラエティ番組を観て知ったのですが、ネバダ州では勲章や盾、トロフィーの売買を禁止しているようなのです。実は私、趣味でいろんな勲章や盾を集めており、何かあったら売ろうと思っていました。日本でもそれら栄誉ある物を勝手に売却してしまうと罪に問われてしまうのでしょうか。

【回答】
 毎年、社会の功労者の栄誉を称えて様々な勲章などが贈られています。法的には贈与ですから、勲章などは叙勲者の所有物になります。もちろん盾やトロフィーも、受賞者が貰う物であれば同じです。

 自分の物をどう処分しようと所有者の自由ですが、所有権といえども絶対ではなく、「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められています。つまり、自分の所有物の処分に関し、法令の制限がない限りにおいては自由ということです。

 所有権を制約する法令はたくさんありますが、武器や麻薬のように転々流通すると社会的に危険な物は所持とともに、許可を得ない譲渡も禁止されています。しかし、そのような心配がない盾やトロフィー等の類はもとより、勲章などの処分を制限する特別な法令はないのです。実例の有無は知りませんが、文化勲章であろうと有効に売却でき、処罰もされません。

 ちなみに、文化的価値のある物で制限があるのは重要文化財(重文)です。重文を文化庁長官の許可なく輸出すれば犯罪。国内売買でも、重文の所有者は文化庁長官に予定代金額を申し出て先買いの機会を与える義務があり、黙って売却すると罰金で処罰されます。

 ともあれ、盾などを処分されて困るようなら、高校野球の優勝旗のように贈与ではなく、預けることにすればよいのです。そうすれば、表彰を受けた者が預けて保管しているトロフィー等を売り払ったりすると業務上横領になり、処罰されることになるからです。

 売ったら返せ、という条件で贈呈はできますが、売った物を取り戻せるかは別問題です。また、貰った人は贈呈者のために所持しているとはいえないので、違反しても背任になることはありません。

【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年11月8・15日号

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