「温度管理には細心の注意が必要」と片岡さんは語る

 実は近年、日本向けの最大産地であるフィリピンのミンダナオ島をはじめ東南アジアや中南米では、「新パナマ病」と呼ばれるバナナの病害の拡大が深刻な問題となっている。人体への害はないが、バナナの木が立ち枯れを起こす病気で、今のところ有効な防除策がなく、これまで国際市場で主力とされてきたバナナ品種「キャベンディッシュ」に至っては、絶滅の恐れもあると指摘する専門家もいる。

 このままでは、バナナを口にすることができなくなる日が来るかもしれない――。

◆雪深い地元には栽培ノウハウがなかった

 そこで注目されるのが、国内での生産を目指す動きが各地で進んでいることだ。例えば、岡山県では耐寒性のバナナの栽培が行われ、2年前から販売も始まっている。また、寒冷地のはずの山形県では、温泉水を利用したバナナの栽培の取り組みが進められている。

 山形県の戸沢村は人口4000人あまり。川下りで名高い最上川が流れる村だ。村営の温泉施設「ぽんぽ館」のそばに建つ大きなビニールハウスで、一昨年から地元の「JAおいしいもがみ」が直営でバナナの栽培を始めている。

 ハウスに入ると、驚くのは巨大な葉を茂らせるバナナの木の高さ。最も高いところで7mあるというハウスの天井に届きそうなほどだ。「JAおいしいもがみ戸沢営農センター」の片岡真紀子さんによると、寒さに強い品種である「アップルバナナ」を中心に8品種100本ほどをハウスで栽培しているという。

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