しかしAさんは、Twitterアカウントであえて10キロ太ってからダイエットしたことを告白し、Instagramは勤務先の会社が運営する青汁情報サイト宣伝用だと暴露、そしてInstagramのフォロワーについて愚痴を言っていた。このTwitterとInstagramの両方を偶然、同一人物によるものだと知らずにフォローしていたネットユーザーによって、匿名掲示板で告発され、その情報が広がってネット炎上が起きていた。
「信じていたのに裏でバカにされていたのが悔しい。ステマは有名人がすると思い込んでいた」とフォロワーだった女性は悔しさをにじませる。ステマを連投していることに気づかされ、目にするとモヤモヤした気持ちになるため、そのファンだった芸能人のファンではいられなくなってしまった体験を語る人もいる。
「凛として好きなアイドルがいた。彼女がすすめるものは何でも買っていた。でも最近はやたら宣伝ぽい投稿ばかりになっていて、あれと思っていた」とある40代女性は言う。
ある時、同時期に他の芸能人たちと同じ商品を紹介していることに気づいて、我に返ったそうだ。「彼女はステマの常習者に名前が挙がるようになった。離婚して色々と苦しいのかもしれないけれど、ステマはしてほしくなかった」
WOMマーケティング協議会によるインフルエンサーマーケティング実態調査(2018年11月)によると、企業の依頼を隠して商品やブランドの紹介を行ったステマに対しては、51.9%と半数以上が「不快に感じる」と回答。続いて「裏切られた感じがする」(28.6%)、「商品やブランドが嫌いになる」(24.7%)、「わざとらしさを感じる」(23.7%)などとなった。不誠実な広告は、誰も幸せにしない。
一足先にSNSでのステマが問題になっているアメリカでは、公正な取引を監督・監視する連邦取引委員会(FTC)が度々セレブやインフルエンサー、企業に対してステマをしないように警告文を送付していると言われており、2016年にはカーダシアン姉妹がFTCから4万ドルの罰金支払いを命じられた。以降、彼女たちをはじめアメリカのインフルエンサーたちは、宣伝のInstagram投稿には「#ad」「# sponsored」をつけている。しかし残念ながら、日本の有名人によるInstagram投稿にはそういった誠実さはまだ浸透していないようだ。
ステマっぽさは投稿ににじみ出ることが多いものだ。前述の例のようにうまく装っても、バレてしまったときには当人と商品に対して大きなマイナスイメージを与えることは知っておくべきだろう。
◆騙されたくないステマの見分け方は
ステマに気づかされたことを、嫌な体験として語る人が少なくないのに、それでもなくならないのはなぜか。やはり一定の需要と供給があるからだろう。
かつてYouTuberのシバターさんは、「格安で商品を紹介してほしい」という話がくるが、動画内で「ステマの相場はチャンネル登録者数×1.5円」と告白した。当時、シバターさんのチャンネル登録者数は26万人くらいいたため、その時点で「40万円程度」と明言していた。なお、現在は104万人のため、150万円になるだろう。
Instagramの場合、広告費の相場は1フォロワーあたり2~4円ほどだという。料金はフォロワー数が多いほうが依頼も多く、高額になる傾向にある。しかし、ここ数年はInstagramの人気が高く、フォロワーがそれほど多くなくても依頼がくるようになっているそうだ。
とはいえ、ステマは不快だと感じる人にとっては、ステマによって商品購入したことが購入後に判明する、というのがもっとも避けたい事態だろう。最悪の結果を避けるためには、あらかじめステマを見分けるのがもっとも効果的だ。