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校則全廃校長、荒れた学校で「怒鳴る教員」をどう変えたか

1日1回は校内を回るのが校長・西郷さんの日課。生徒の些細な変化にも気づきやすくなるという

 東京都世田谷区立桜丘中学校では、校則の全廃による服装や髪形の自由化のほか、チャイムは鳴らず、何時に登校してもいい。今年度から定期テストも廃止され、代わりに10点ないし20点の小テストを積み重ねる形式に切り替えられた。スマートフォン(スマホ)やタブレットの持ち込みが許可され、授業中も教室外での自習が認められている──これら画期的な学校改革は大きな注目を集め、新聞や雑誌、テレビでも取り上げられてきた。

 校長の西郷孝彦さん(65才)の初となる著書『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』には「子育ての参考になった」「こんな先生に教わっていたら、人生が変わっていたかもしれない」などと、大きな反響が寄せられている。

◆生徒を怒号と力でねじ伏せる

 西郷さんがいくつかの異動を経て、桜丘中学校に校長として赴任したのは、2010年のことだった。

「当時の桜丘中学校はどこにでもあるごく普通の学校でしたが、一方でよい評判を聞くこともなかった。引き継ぎの日に、前任者から“大変だろうけど、まあ、あとは自由にやりなさい”と言われたのですが、その理由がすぐにわかりました。朝礼を見れば一目瞭然です」(西郷さん・以下同)

「黙れー!」「そこ、早く並べ!」「後ろを向くな!」──西郷さんが朝礼台に立っても、教員たちの怒鳴り声はやまない。

「生徒を力で押さえつけて秩序を保とうとしていたのです」

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