最初のM&Aは2002年1月、郷土料理居酒屋「北海道」など計39店舗を展開していた平成フードサービスの買収だ。同社は横浜中華街の老舗・聘珍楼の子会社で、オーガニック野菜など素材にこだわり、農場で野菜を生産するなど先進的な取り組みをしていた。
その後、結果的に素材にこだわり過ぎたことで経営を悪化させるのだが、コロワイドは全店舗ではないが、たったの4億円で平成フードサービスを買収、1年程度で立て直しに成功した。素材などへのこだわりを捨てセントラルキッチンで加工したからだ。
「北海道」は150~400席規模の大型店が多く、現在でも首都圏を中心に50店舗展開、コロワイドのドル箱となっている。訪日外国人からも人気で、年間100万人以上来店しているようだ。
コロワイドは1兆円程度と市場規模の小さい居酒屋業態のM&Aを嫌い、「脱・居酒屋」を掲げて非居酒屋事業を買収してきた。
すかいらーくは2006年にMBO(経営陣などによる買収)をするときは、資金が絶対的に足りないのに、蔵人氏はすかいらーくの買収に本気になったことがある。現在、コロワイドはコロワイドMDを柱に、アトム(回転寿司、居酒屋など)、レインズインターナショナル(牛角など)、カッパ・クリエイトホールディングス(かっぱ寿司)を中核企業とし、子会社は39社を数える。ちなみに2019年3月期の売上高は約2444億円だった。
2014年に300億円を投じ社運をかけて買収した「かっぱ寿司」の再建に手こずってきたが、ようやく再建のめどが立ち、今期から来期にかけては良い決算が期待できそうだ。
今回の大戸屋HDのM&A案件はそんなタイミングで転がり込んできた。コロワイド自身、1000億円を超す有利子負債を抱えて資金繰りには苦労しているため、簡単にはM&Aに動けないだろうとみられてきた。しかし、大戸屋HDの時価総額は約175億円、コロワイドの時価総額は約1700億円。コロワイドが買収するとなれば、株式交換という手法も使えそうだ。