どうせイイ大学に入りたいヤツラはみんな塾に行って私立の学校を目指してる。そっちは自分たちのカネでもう勝手にやればいい。
そういう「学歴エリート」の流れに乗らないヤツは、職人になって一刻も早く手に職をつけたほうがいい。そのほうが社会の厳しさもわかるし、よっぽど立派になれるよ。それでも義務教育は必要だって言うんなら、公立校は全部「職業訓練校」にしちまったほうがいいと思うね。
最近は猫も杓子も大学に行くようになったけど、それで大学が厳しい現実から目を背けて、ちょっとボーッとしてようっていう休憩所みたいな存在になっちまってるからね。それよりも、大工だったり、寿司職人だったり10代からしっかり修行して働いてるヤツのほうがはるかに偉いと思うよ。
パナソニックとかソニーみたいな大企業が職業訓練校を作るのもいいな。そこで優秀な成績を修めれば自動的にその企業に入れるし、生徒がもっとレベルの高い教育を望めば企業のカネで受けさせてやるというね。
企業もいい人材を確保できるから、いいんじゃないか。若い時から優秀な人材を見つけて教えれば、「リチウムイオン電池」の発明でノーベル化学賞をもらった旭化成の吉野彰さんみたいな超一流の研究者を社内で育てられるかもしれないしさ。
義務教育なんて廃止して、それぞれに合った環境を廃止して、それぞれに合った環境を整えてやれば、くだらないイジメも減るはずだよ。オイラたちの税金で、これ以上バカを育てるのはカンベンだっての!
※ビートたけし/著『芸人と影』(小学館新書)より