「芸能界は社会の縮図であり、世間での薬物の蔓延の度合いが、芸能界に表れているように思います。それでも、芸能人にはたしかに薬物に手を出してしまうような気質の人も多い。田代まさしさんと接すると、“常に人を楽しませたい”というサービス精神を感じました。人に薬物をすすめられた時、断りにくかったり、相手の期待に応えたいという気持ちが、つい出てしまうのかもしれません」
そもそも芸能界と違法薬物の親和性が高いという指摘もある。薬物犯罪に詳しい作家の藤原良さんが話す。
「時代はヒロポン(覚せい剤)が合法だった時代にさかのぼります。時々ビートたけしさんもテレビなどでヒロポン話をネタにして笑いをとったりしていますが、芸能界だけでなく落語家、歌舞伎役者も昔はヒロポンを使っていた。
その後、覚せい剤が違法になると、一気に流通量が減ります。そこで水面下で覚せい剤を運べたのが、1つは全国組織の暴力団のネットワークです。もう1つが、暴力団のサポートの下で全国各地を興行で回っていた芸能界だった。むしろ、ヤクザ特有の『シマ(縄張り)』がない分、芸能関係者の方が運びやすかったとも言えます。ミュージシャンやタレントだけでなく、その付き人やスタッフも、かつては“運び屋”をして糊口を凌いでいた人が少なくありませんでした」
芸能界と暴力団組織が非常に近い関係だった時代があったこともたしかだ。ヤクザ側からの太い“供給ルート”もあっただろう。反社会的勢力との交際が御法度である現在はどうだろうか。薬物の売買にかかわったことがあるという暴力団関係者はこう話す。
「大御所と呼ばれる歌手や芸人、タレントだけでなく、事務所の関係者にも、かつてのヤクザとの関係が続いている人も少なくない。若い芸能人だって、そういう先輩を見て育っているから、ヤクザに抵抗感は少ない。
結局のところ、今日本で出回っているほぼすべての違法薬物は、海外マフィアから暴力団が仕入れたものです。それが現役組員から、元組員や半グレ、友人知人らを経由してバラ撒かれる。実は、組員から直接、常習者に売られるケースはほとんどないですが、それでも芸能人の中には、ASKAのように現役組員から直接入手するケースも少なくない。結局、かつての“腐れ縁”が今も続いているということなんでしょう」
※女性セブン2019年12月19日号