今は、気軽に入手できる「市販薬」。近所のドラッグストアの市販薬はどんどんアップデートされていく。だが、一度判断を間違えて使うと、症状は治まるどころか悪化することにもなりかねないという。目薬と点鼻薬、その正しい使い方に迫った。
◆赤い目は花粉か結膜炎か
目薬は一度に使う量が少ないこともあり、前に使っていて残っていたものを使ってしまいがちだが、これも危険だ。宮城県の太田美穂さん(43才・仮名)も失敗した1人。
「目が赤くなり、季節柄また花粉症が始まったと思って買い置きしていたアレルギー用目薬をさしたんです。その時はスッとしたものの、前より赤みがひどくなってしまった。眼科に行ったら『結膜炎』と診断されました」
太田さんのケースを、薬剤師で銀座薬局代表の長澤育弘さんが説明する。
「結膜炎とアレルギー性の炎症は起こるメカニズムが違うが、眼科医でも見分けるのを間違えることがあるといいます。結膜炎の原因は菌の繁殖によるものなので、抗菌剤入りの目薬でないと効果は見込めません」
一方、花粉症などのアレルギー症状に効果のある薬には、抗アレルギー成分や抗ヒスタミン成分などが含まれている。
「抗アレルギー目薬の中には免疫を下げる成分が入っているものがあります。菌が原因で炎症が起きている結膜炎に花粉などのアレルギー症状に効くタイプの目薬を使ってしまうと、逆に菌を抑える機能を抑制してしまい、症状が悪化してしまう場合があります」(長澤さん)
眼科医の適切な診断を受けた方がよさそうだ。
◆スカッと効果より値段で見分ける
鼻が詰まると不快なうえ、睡眠にも影響が出る。お世話になることが多い鼻炎用の点鼻薬。実は、同じ棚に並んでいても、価格帯によって注意点が違うと言うのは新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さん。
「おおむね1000円以下の安めの価格帯の点鼻薬の中で、『血管収縮剤』が入っているものには、依存しないように気をつけた方がいい。噴霧後はすぐにスッキリするので、かぜで鼻詰まりがひどい時など寝る前に一吹き、という使い方はおすすめです。
ただ、花粉症やペット、ハウスダストなど、アレルギー症状で慢性的に鼻が詰まっている人は要注意。というのも、効いている時間が短いので、つい続けて使ってしまいそうになるのです。何度も使うと鼻の粘膜が厚くなって、かえって鼻詰まりの症状が悪化してしまいます」
では、1000円を超えるものはどうか。
「高価格帯のものの多くにはステロイドが含まれています。即効性はないものの、使い続けると症状を抑えてくれるタイプで、アレルギー反応を根本から抑える特効薬です。ただし、ステロイドは白血球減少などの怖い副作用もあります。添付文書をよく確認し、長期連用は避けましょう」(岡田さん)
※女性セブン2019年12月19日号