• TOP
  • コラム
  • 「父はバブル、自分は氷河期」 結婚を諦める40代男性の嘆き

コラム

2019.12.10 16:00  マネーポストWEB

「父はバブル、自分は氷河期」 結婚を諦める40代男性の嘆き

氷河期世代が救われることはないのか?(イメージ)

 先日、大きな話題になったのが、兵庫県宝塚市が行った就職氷河期採用だ。これは、就職氷河期世代とされる30代半ばから40代半ばの人を対象とする正規職員募集だったが、倍率が400倍にも到達。結局は再び狭き門に苦しめられる氷河期世代の現実が浮き彫りになった。

 現在都内で暮らす40代男性・Sさんも、氷河期世代で就職に苦労したひとり。大卒時は何とか就職することができて、同年代の平均以上の給料を稼いではいるが、すでに「一生結婚しない」と決めているという。Sさんがそう思うに至った理由は、氷河期世代の大卒者ならではのものだった。

 Sさんは現在、都内のIT企業で働いている。身長183cm、難関私立大学の大学院(文系)を卒業し、年収も600万円以上あり、一時期流行った“3高”(高身長・高収入・高学歴)と言っても良い人物だ。

「私は小学校の頃から勉強が得意で、学区トップの高校から第一希望の大学に入りました。大学でもマジメに出席し、教授の勧めもあって大学院に進学。しかしこれが失敗でした……。大学院に通った2年間で就職を取り巻く環境がみるみる悪化し、文系の大学院生にまともな就職先などありませんでした。パソコンが扱えて英語もできたので、何とかIT企業の内定を取りましたが、それ以来ずっと、大学院の研究とはまったく関係のない仕事をしています」(Sさん、以下「」内同)

 大学院でマジメに学んだことが“まったく生かされない”とはいえ、とにかく食い扶持は稼げるようになったSさん。しかし数年後、ふとあることに気付いたという。

「私の父は高卒で、色々な仕事を転々とした挙げ句、都市銀行に入ることができ、そこで定年まで勤め上げました。大して出世したわけではなく、学のない父のことを心の中でバカにしていた時期もありました。

 けれども父は、埼玉県のベッドタウンに一戸建てを建て、子ども2人を私立の大学に通わせました。母親はずっと専業主婦です。どうやら家を買った直後にバブル時代がやって来て、かなり美味しい思いをしたようで、ローンもすんなり返せたようです。

 一方、私は子どもの頃からマジメに勉強し続け、世で“一流”と呼ばれる大学を卒業しましたが、今後、どう考えても都内からの通勤圏内に一戸建てなど買えませんし、子供を2人持って、私立の大学に通わせるなど、経済的に不可能でしょう。そう思ったら、何だか色々なことがバカらしくなってしまいました……」

 Sさんの父親世代は、今ほど学歴が“絶対”ではなかったようで、Sさんの父は高卒でも都市銀行に入ることができた。しかもバブルという大きな“ボーナス”も貰い、そこで経済的にも潤った。それにひきかえSさんが生まれたのはベビーブーム真っ只中でライバルも多く、大学受験で苦労し、不景気で就職活動でも苦労し、就職後も世の中の景気が良かったことは一度もない。

 すべてを時代のせいにしてしまうのは情けないが、Sさんが不条理だと思うのも無理はないだろう。そんなSさんが「一生結婚しない」と固く誓うのは、やはり親との関係性も影響しているという。

「大学院まで出た私に対する父の期待は大きく、私に向かって『オレみたいな平凡な人生は送るな』と言います。けれどもオレに言わせれば、家も買って、車もあって、子供2人を大学に通わせられたら“超”がつく勝ち組ですよ! それならいっそ独り身で、自分が好きなことをやった方がずっといいですね」

 かくして、結婚や子育てという人生プランを諦めたSさん。それでも父からは「頑張って大学院まで行かせたんだから、老後は頼む」ともほのめかされていて、Sさんもそれは当然だと思っており、今さらながらせっせとお金を貯めているそうだ。

関連記事

トピックス