3つの山口組抗争「次なる発火点」

◆通院先の病院で待ち伏せ

 人口の多い都市はヒットマンの隠れ家になりやすい。兵庫県の隣に位置する大都市・大阪は各地にヤクザの巣くう歓楽街があり、六代目、神戸、任侠という3つの山口組の傘下事務所が乱立する。ヤクザが多ければ、トラブルの火種もまたあちこちに転がっている。 また、突出した経済規模を誇る首都圏にも、あちこちに六代目、神戸、任侠のシンパや企業舎弟がいる。

 現代の暴力団は慎重で抗争時にあえて飲み歩くような蛮勇をしない。上層部の車は防弾車で、雨あられのように銃弾を浴びせても貫通しない。屋根と床下には鉄板がないが、それこそ殺されるのを覚悟で飛び乗り、または潜り込み、自動小銃を乱射する他なく、現実的ではない。

 ヒットマンの仕事は待ち伏せが基本で、自宅、事務所、愛人宅やお気に入りの飲食店といった、ターゲットが顔を出す立ち回り先の近くに潜み、身を潜めて襲撃を狙う。市民が暮らす住宅街といえど銃声は鳴る。

 また、首都圏には有名な医療機関が多数あり、高度な治療を望む地方在住の組長が入院することがある。

「高齢化の進むヤクザだけに持病を抱えている者は多い。病院は定期的に訪問する場であり、ヒットマンが狙いやすい。反対に駅やホーム、空港といった公共交通機関での犯行はマスコミが大騒ぎするうえ、メンツを潰された警察の本気を招く。下手な発砲は国家権力に潰されかねないという意識はヤクザ全体が共有している」(指定暴力団幹部)

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