ライフ

【著者に訊け】大沢在昌氏 『暗約領域 新宿鮫XI』

大沢在昌氏が『暗約領域 新宿鮫XI』を語る

【著者に訊け】大沢在昌氏/『暗約領域 新宿鮫XI』/1800円+税/光文社

 鮫が、帰ってきた。前作『絆回廊』から8年ごしの復活。1990年刊の『新宿鮫』からは約30年目となる。

「鮫島は初登場の時が35歳だから、ゆっくり進む“サザエさん”みたいな感じかな(笑い)」

 そうした時差(?)をさし置いても、新宿署生活安全課の万年警部・鮫島には、大沢在昌氏の言うところの「現実の1歩先」の事件が似合う。最新作『暗約領域』でも、ヤミ民泊、MDMA、仮想通貨、謎の国際犯罪集団の台頭など、叩けば叩くほど地下に潜り、複雑さを増す現代の犯罪シーンを活写し、その只中で再び孤独を強いられた一匹狼の再生を描く。

 そう。本作は唯一の味方だった生安課長〈桃井〉が前作で殉職し、恋人〈晶〉とも別れた鮫島が、新たな上司と相棒を得る再始動の章でもあった。その上司の名は〈阿坂景子〉──シリーズ初の女性上司である。

「元々桃井の後任は女性にするつもりでいたし、前作の終わり方が終わり方だけに、もっと早く続きを書ければよかったんですけどね。『もしやこれで完結?』という声も実際多かったから。

 確かにそう読めなくもないけど、失意の底にあってなお現場に立ち続けてこそ鮫島だし、“男の美学”を声高に語るのだけがハードボイルドじゃないから。むしろそいつが何を背負い、何を堪えてるかが多くは語らずとも透けて見えたり、言葉より行動で見せるさりげなさが、僕が考えるハードボイルドの本質なんです」

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
JALの元社長・伊藤淳二氏が逝去していた
『沈まぬ太陽』モデルの伊藤淳二JAL元会長・鐘紡元会長が逝去していた
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン