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コラム

2019.12.18 12:11  太田出版ケトルニュース

デジタルネイティブ女子が語る「“意識高い”が皮肉でなくなる未来」

『ケトルVOL.51』(プレステ特集/太田出版)より

塩谷 舞・石井リナ・大久保 楓による鼎談第9回。デジタルネイティブと呼ばれる彼女たちは、どんなふうにインターネットと接しているのか──。改めて、オフライン/オンラインの行き来を振り返ります。

◆D2C大国アメリカ そこにある意外な理由

舞:NYでGlossierという化粧品のショップに行って、すごく感動しました! 店内に複数のテスターと鏡があって自分で試し放題。その場で決済してスマートに購入できるんです。

リナ:私が行った時は、そんなサービスなかったかなぁ。その当時はまだSNSでのブランディングが先行している印象でした。でも、それに合わせてリアルでもアップデートしているっていいですね!

楓:確かに。日本のECサイトの実店舗に行っても、せっかくSNSで良い世界観を作っているのにもったいないって感じるところが多いんですよね~。

リナ:他にNYで元気なD2Cってありますか?

舞:寝具のCasperかな? 世界観も可愛いし、高品質な上に搬入もしやすくて低価格。すごく売れています。

リナ:やっぱりアメリカはD2C大国なんですね。

舞:アメリカでD2Cが広まっているのは返品のしやすさと関係がある気が……だって、12月に買ったクリスマスツリーを1月に返品できちゃうって噂まであるんですよ?

リナ:絶対に使ってるじゃないですか(笑)。

舞:多分ね(笑)。でも、その分、消費者はどんな商品もまず「試してみよう」っていう気にはなるわけで。加えて日本以上に地方都市が点在しているから、実店舗がないことに対するハードルも低いですね。

◆「正しいエコ」の線引きは誰が決めるもの?

楓:買い物でいうと、私はこの頃、「エコかどうか」を素材から気にして探すようにしています。たとえばPela Caseというブランドの、土に還るスマホケースはエコだし、デザインも可愛くて素敵でしたね。初めて買うマイボトルも慎重に選びました。実はマイボトルって、持つこと自体がエコになるからか、まだ素材にまで関心が向いていないんですよ。

舞:もし1本のマイボトルを作るのにペットボトル数千本分の資源や労力が使われているなら、どっちがいいのかわからないもんね……。「これはエコなのか?」を客観的に指摘してくれる人材が必要なのかも。

リナ:そうですね。ただ、エコについてコンサルタントまで登場するのは、もう少し先じゃないか……と。たとえば誇大表記とか、社会が大きな炎上を経験した後になるような気がしています。

舞:今でも医療分野では、SNSで広まってしまった風説に対して医師などが懸命に反論するような動きがありますよね。同じような構図がエコの分野でも起こるんじゃないかと思って。

リナ:ただ、エコ、エシカルの分野って、より複雑なところがありますよね。良し悪しのラインが引きづらいというか。

楓:同じ言葉でも何を重要視するのかが人によって違うから……。素材がナチュラルなら良いのか、今あるものを長く使い続けるのが良いのか、どれも間違ってはいなくて、全部を同時には満たすのは難しい。何をメインとするかは人それぞれで。

リナ:とにかく今は、企業には、取り組んでいる方向をはっきりと打ち出してほしいなと思うんですよね。そうすれば、私たちも自分の軸に合わせていろいろな判断がしやすくなりますから。

◆新しい「カッコイイ」のロールモデル

楓:今年の参議院選挙は私たちの世代では今までにないくらい盛り上がりました。10代の間で政治、環境、人権問題などに自分の意見を持つ人に憧れるような意識ができつつあります。

舞:昔はファッションや音楽に詳しいことがカッコよかったけど、「カッコイイ」のロールモデルが変わってきてる。

リナ:私自身も選挙の争点や情報をまとめたり、夫婦別姓についての記事を書いたりしました。もともと政治には関心はあったのですが、今年は周囲からの要望も強かったと思います。

舞:私もリナちゃんのその記事には触発されたよ!

リナ:SNSの盛り上がりでいうと2019年の参議院選挙の時にできた「NO YOUTH NO JAPAN」というインスタメディアに若者の注目が集まっていて。争点がわかりやすく整理されているので、どんどん情報が拡散されていった感じですね。

楓:何かを広めたり訴えたりしたい時は、コミュニティが大切ですよね。ファッションでもコミュニティは繋がりが強いのでいろいろなところでアピールしてくれるし、仲間も増えやすいって感じます。だからエシカルも選挙みたいに、もっとみんなが当たり前に話したり考えたりできるような雰囲気作りが進んでいけば良いのになぁ。

◆自分の世界を変えるにはインターネットの整理から!?

舞:もう12月なんだよね。最後に、みんながこの1年で感じた自分の変化を話そうか。

楓:私は常に新しいものを求めることをやめました。ファストファッションのアプリも消して、今はメルカリ1本です(笑)。

リナ:どんな変化があったの?

楓:最新を求めると物欲にキリがないことに気づいたというか……。だから「メルカリにないものは買わない」と自分でルールを決めたんです。そうすることで逆に、自分が本当に欲しいものがわかったりして。やっと大人の買い物って感じになったかな、と(笑)。それでもアプリがあるままだと見ちゃうので思い切って削除!

舞:私も消費に対する価値観が大きく変わった年。SNSでも、ファッションブランドのフォローはほとんど外して。そうすることでタイムラインもずいぶん変わって、自分が今まで、必要以上に消費を求めていたことを実感しました。

リナ:なるほど。2人と少し似ているんですけど、私は、SNSとの距離感そのものを考えるようになりましたね。SNS上での言論とか空気感とかに振り回されるのに少し疲れちゃって。その分、リアルな世界を大切にしています。実物を見たり、対面で会って話したりすることで初めてわかることも多いと改めて感じています。

【プロフィール】
大久保 楓/元YouTuber。現アパレルブランドLOLIPOPKNIFEクリエイティブディレクター。1999年生まれ。SNS総フォロワー数10万人を超える。18歳での起業も話題に。

石井リナ/BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント。1990年生まれ。『Instagramマーケティング』共著。現在は起業し、動画メディアBLASTの運営を行う。

塩谷 舞/milieu編集長。1988年生まれ。東京とニューヨークの二拠点生活中。大学在学中に『SHAKEART!』創刊。Webディレクター・PRを経てフリーランス。

◆ケトルVOL.51(2019年12月16日発売)

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