もう一人の注目は10月の出雲駅伝2区で区間賞を獲得した岸本大紀(1年)。高校時代は無名だったが、大学入学後に才能が開花し、1万mで28分32秒という好記録を出している。
「距離の長い2区で吉田や岸本が先行すれば東海大に大きなリードを取ることもできる。前半で優位を保てるかどうかが、優勝に望みをつなぐためには不可欠の条件になる」
前回3位の東洋大の注目は、7月のユニバーシアードでハーフマラソン優勝など存在感を見せた相澤晃(4年)。学生長距離界のエースの風格を備え、駅伝シーズンに入ってからも出雲3区、全日本3区でいずれも区間記録を大幅に更新した。
駒澤大学のキーマンは、ユニバーシアードのハーフで相澤に続く2位の中村大聖(4年)。
「中村は責任感が強い。前回総合4位にとどまり、今季は主将として雪辱に燃えている」
ちなみに中村は埼玉栄高校出身。かつての仲間が好敵手になっている。
「当時の同級生に東海大の館澤主将、國學院の土方英和主将(4年)がいます。同窓の因縁を持つ“主将対決”にも注目です」
その土方率いる國學院大は出雲を制して「5強」の一角に入ってきた。出雲のエース区間3区でトップ争いに絡み、優勝の立役者となった浦野雄平(4年)は5区起用が確実視されている。
「前回は直前になって急遽5区に抜擢された状況で区間新、今季は日頃のジョグからアップダウンに適応する練習を重ねている。現在とほぼ同じ距離だった2005年に今井正人(順天堂大)がつくった区間記録に迫る快走を見せれば、新・山の神が誕生するといえるでしょう」
※週刊ポスト2020年1月3・10日号