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医療費の負担増ラッシュ 国の制度を賢く利用する防衛術

「窓口負担2割」で病院に払うお金はこう変わる

「窓口負担2割」で病院に払うお金はこう変わる

 政府は医療費を抑えるための制度改革を次々と打ち出そうとしている。2020年6月に自営業者や退職後の元サラリーマン(75歳未満)が加入する国民健康保険の保険料を値上げする方針だ。75歳以上の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる案も出ている。

 またドラッグストアなどで購入できる市販薬と同じような効果の「市販品類似薬」を医療保険の対象から外し、全額自己負担で買わせることを検討している。では、どう対策すればいいか。ヒントは別掲の図のなかにある。

 慢性疾患の通院治療の医療費が「2倍増」になる一方で、「骨折」や「悪性新生物(がん)」で入院した場合は負担に変化がないと試算されている。これは一定額を超えた医療費が還付される「高額療養費制度」の利用を前提とした数字だ。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北山茂治氏が解説する。

「今後は高額療養費制度をフルに活用することが重要になってきます。この制度は1か月間の医療費負担の上限を超えた金額が還付される。そのため、同じ『30日間の入院』でも月をまたぐと限度額を超えずに還付金をもらえないというケースが起こる。手術や入院治療が必要になった場合は、緊急でなければ月初めに入院するようにして、できるだけ医療費の支払いを1か月間に集中させる。

 夫婦で同じ医療保険に加入している場合は、高額療養費制度を使う際に世帯内の医療費を合算できるというポイントも重要です。たとえば、妻が入院するとなったら、夫は同じ月に費用が高い歯の保険適用の治療を集中的に行なうようにする。そうすれば妻の入院費で高額療養費の限度を超えるから、夫の歯科治療費の多くは還付されるはずです」

 ただし、注意すべき点もある。図を見ると75歳以上の窓口負担が2割になっても、「高額療養費制度が利用できるから入院治療は負担増なし」に見える。しかし、実際は制度の“狭間”に落ちてしまうケースがあるのだ。

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