日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(左/時事通信フォト)

日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(左/時事通信フォト)

◆「プロ化」するメリット

 そもそも「プロ化」するメリットとは何だろう。立場によって、そのメリットは若干、違ってくるだろうが、客観的に見れば、継続的な(1)各方面への金銭的メリット(2)日本代表の強化──ということになるだろうか。もちろん、「成功すれば」という条件付きではあるが、仮に得られるものがこの2つのメリットだけだったとしても、「プロ化推進」に賛成する十分な理由と言えるだろう。

 ただし、話はそう単純ではない。だからこそ、「当初のイメージよりもかなりスローペース」でしか進んでいないのだ。

 それは、メリットだけではなく、プロ化するデメリット、あるいはデメリットへの不安があるからだ。しかも、立場の違いによって、その不安も微妙に異なるので、それらについて、一つ一つ不安を取り除いていかないとなかなか前に進まない。これは想像だが、まさにその作業に予想外の時間がかかり、スローペースを余儀なくされているのではないだろうか。

 まずは、プロ化のメリットについて考えたい。先ほどメリットについて「(1)各方面への金銭的メリット」と書いたが、具体的には差し当たり「選手」「チーム(企業)」「協会」の金銭的メリットが考えられる。

 選手は、当然、プロ化によって現在の収入よりも高い収入が得られる可能性が出てくる。現在、トップリーグでもプロ契約の選手は少なくないが、ほとんどが社員というチームもある。プロ化すれば、当然、収入アップの期待も高まる。

 チーム(企業)は、これまでは「広告宣伝」や「福利厚生」という意味合いで予算を組んで支出していた。プロ化によって、リーグ全体の収入が増えれば、チームへの見返りも発生することだろう。選手の年俸アップよりも、そちらのほうが上回れば、企業にとっても悪い話ではないはずだ。

 トップリーグに参戦している企業は、日本を代表する大企業ばかりだが、それでも毎年、億単位の予算を使うチームが単独で収益をあげてくれるようになってくれれば、それに越したことはあるまい。

 協会への金銭的メリットは言うに及ばずだ。現状“火の車”の協会にすれば、プロ化によって万年赤字体質から脱したいと切に願っていることだろう。

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