彼の強要が生易しいものではなく、例えば服用しなければ、あなたの恥ずかしい写真をインターネットに投稿すると脅かしていたりすると、あなたには避妊薬の服用義務がないので、彼は「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者」として強要罪を犯したことになり、3年以下の懲役になります。

 冒頭のとおり、避妊薬は医師の処方が必要です。医師が副作用のある薬の服用を指示することはないと思います。体の状態をよく説明し、薬を変えてもらえないのなら処方を断わり、薬が出ない状況と心情を彼に理解させ、諦めてもらうのがよいのではありませんか。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年1月17・24日号

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