国際情報

韓国、0.00000000696ミリシーベルトを問題視する背景

科学的根拠に基づかない主張による風評被害が懸念される(Penta Press/時事通信フォト)

 2020年の幕開けとともに、韓国による“放射能五輪”キャンペーンが激化している。1月6日には、韓国で「サイバー外交使節団」を自称する民間団体VANKがソウル・日本大使館建設予定地の壁に貼り出したポスターが物議を醸した。防護服姿の人物が聖火を掲げて走る絵柄に、「TOKYO 2020」の文字を重ねたデザインだったからだ。

 東日本大震災以降、日本が放射能に汚染されていると主張し、世界に印象付けるかのような韓国の活動は、民間だけに限らない。

 韓国政府は2011年の福島第1原発の事故を受け、2013年9月から日本の8県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉)のすべての水産物と、14県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、神奈川、長野、埼玉、山梨、静岡、新潟)の農産物のうち27品目を輸入禁止にしている。日本はこの輸入規制が非科学的であるとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。すでにこれらの県の水産物や農産物から原発由来の放射性物質はほぼ検査機器の測定限界以下にまで下がっているからだが、昨年4月に日本が敗訴するという想定外の事態となった。

 あまり知られていないが、韓国の規制は、上記の「輸入禁止」だけではない。禁輸品目以外の食品(対象は13都県)と、北海道、東京、神奈川など8都道県の水産物についても、日本の輸出業者側で放射性セシウムと放射性ヨウ素の検査をしたうえで、基準値以下であることを証明する「放射性物質検査証明書」を添付するよう義務づけている。

 韓国の放射性セシウムの安全基準は、日本とほぼ同じで1キログラム当たり100ベクレル以下。では、この基準をクリアすれば輸出が許可されるかと言えば、答えはノーだ。農水省の食料産業局輸出促進課に実態を訊いた。

「韓国食品医薬品安全庁から、『少しでも放射性ヨウ素、セシウムが検出された食品については、輸入業者に対してプルトニウムやストロンチウムの検査を追加で実施するように指示している』と説明を受けている。韓国側の放射性物質検査では、韓国の安全基準に関係なく、微量でも検出されると輸入が止められ、他の核種の検査証明書が要求されます。実際に止められたケースはありますが、プルトニウムやストロンチウムの検査は難しく、時間と費用がかかるので、(追加検査なしで)返送されるケースがほとんどです。

“(放射性ヨウ素や放射性セシウムが)微量でも検出されれば”という条件が課されると、過去に世界中で行なわれた核実験によるフォールアウト(放射性降下物)が今も残っているため、明らかに福島の事故とは関係ない物品でも検出されることがあり、輸入が止められてしまうのです」

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン