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前立腺がんを“見つけすぎる”リスクがあるPSA検査

PSA検査は血液検査のオプション(写真/AFLO)

 毎年、体に異常がないかをチェックするために受ける「健康診断」。「毎年これだけ調べているから安心」とはいえない。検査を受けることで、かえって“健康を損なうリスク”があるのだ。

「治療が要らない疾患」を見つけてしまう検査の問題もある。前立腺がんの「PSA検査」だ。

 前立腺がんは年齢を重ねるほど罹患者が増加し、60歳以上の患者が9割以上とされる。人間ドックのオプションなどにあるPSA検査は、前立腺から分泌されるたんぱく質である「PSA」の数値を調べることでがんの可能性を測定する。NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。

「前立腺に炎症やがんができると、血液中にPSAが増えることを利用した検査です。しかし、PSAは前立腺肥大や前立腺炎でも数値が上がるため、偽陽性(実際は陰性なのに陽性の検査結果が出ること)となりやすいことが難点です」

 また、他のがんと違い、前立腺がんは「早期手術」に大きなリスクがある。

「前立腺がんは進行が遅く、高齢者の場合は直ちに切らず様子見すべきケースが多い。無理に手術すると、男性器周辺の神経を損傷し、術後に尿漏れやED(勃起不全)を発症して、患者のQOL(生活の質)が著しく低下する怖れがあります」(同前)

 米ノースショア大学の研究では、前立腺がんを外科手術で治療した患者の79~88%にEDが生じたという結果が出ている。

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