年頭の事業方針説明会の際、サントリースピリッツの神田秀樹社長は、「従来のRTD市場と一緒にせず、レモンサワーという1つの市場として捉えている」と語っていた。それだけ、まだまだ伸びしろがあるという手応えを感じているのだろう。
実際、同社はまず、2018年2月に「こだわり酒場のレモンサワーの素」という濃縮タイプの瓶商品を売り出し、想定以上にヒットした。これを受けて昨年は、3月5日から缶商品で「こだわり酒場のレモンサワー」(アルコール度数は7%)も投入したところ、これがまたウケて、何度も販売数量の上方修正をしている。
昨年、レモンサワー市場全体は2523万ケース(1ケースは6リットル換算)で前年比117%と大きく伸びたが、サントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」は当初計画の、実に4.7倍の978万ケースを売った。
サントリースピリッツの調べによると、自社のRTD商品の初年度出荷数量を、「こだわり酒場のレモンサワー」同様、販売開始から10か月の数字で比較すると、「-196℃ストロングゼロ ダブルレモン」(アルコール度数は9%)が835万ケースだったというから、「こだわり酒場のレモンサワー」はそれを上回る快速ペースということになる。
勢いづいたサントリースピリッツでは、来たる3月17日、「こだわり酒場のレモンサワー」<キリッと男前>という、アルコール度数9%の商品を追加発売する。レモンサワーで9%といえば、俳優の阿部寛を起用したテレビCMが印象的な、コカ・コーラの「檸檬堂」シリーズの「鬼レモン」が思い浮かぶ。
最近は「気軽に量も飲める缶チューハイなどで度数9%というのは、危険ドラッグではないか」といった指摘も出ているが、その賛否はともかく、「安価で早く酔える」という点がウケて、高アルコール商品は総じて好調だ。