◆過去のコロナウイルス肺炎は日本国内の感染例なし

 これまでに、コロナウイルスによる肺炎が流行したこともある。2003年に中国を中心に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と、2012年にサウジアラビアで流行が始まり2015年には韓国にも飛び火したMERS(中東呼吸器症候群)だ。

 どちらも、コロナウイルスが感染の原因で、電子顕微鏡で撮影するとウイルスが太陽のコロナのような形をしているために、このような名前で呼ばれている。

 SARSとMERSは、これまでに、それぞれ800人あまりの死亡者を出した。SARSは2003年に終息宣言が出されているが、MERSは現在も中東地域で流行が続いている。いずれも、日本国内での感染例はない。

 だが、今回の新型肺炎は、すでに日本国内でも7人の感染が確認され、日本人の感染者も初めて確認された。中国はちょうど春節(旧正月)による大型連休中であるため、訪日旅行者によるヒトからヒトへの感染拡大の懸念は強まるばかりだ。

◆感染症ごとに異なる「感染力」の見方

 感染症の感染力を表すために、「基本再生産数」という概念がある。これは、ある感染症にかかった人が、その感染症の免疫をまったく持たない集団に入ったときに、直接感染させる平均的な人数を表す。

 たとえば、この値が1より大きいと、平均的に、1人の患者から1人よりも多くの人に感染するため、感染は拡大する。逆に、この値が1より小さいと、1人未満にしか感染しないので、感染はいずれ終息する。そして、ちょうど1ならば、拡大も終息もせず、その地域に風土病のように根付くことを意味する。

 感染症ごとに、基本再生産数は異なる。ある研究によると、インフルエンザは2~3、SARSは2~5、MERSは0.8~1.3とされている(別掲表参照)。

感染症別の「基本再生産数」

感染症別の「基本再生産数」

 今回の新型コロナウイルスによる肺炎の感染力は、WHOが暫定的に出した数値は1.4~2.5だが、香港や英国の大学チームの見解によると、3.3~5.5の推定値が示されたとの報道もある。こうして見ると、SARSやMERSよりも急速に感染規模が拡大していく可能性も否定できない。

 ただ、感染症の種類でいえば、たとえば、はしか(麻疹)はこの値が16~21と非常に高く、コロナウイルスよりもはるかに感染しやすいことが分かる。これは、コロナウイルスが主に咳やくしゃみなどによる飛沫感染で拡大するのに対して、はしかはウイルスの粒子が小さく、長時間、空中に浮遊して、広範囲に感染が拡大する(空気感染)ためと考えられている。

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