外岡氏は、新型コロナの感染力についてこう語る。

「中国の専門家の中にはSARSの10倍以上と主張している人もいますが、現時点では強いとも弱いとも言えません。武漢市の海鮮市場から始まり、感染源がコウモリともヘビともいわれていますが、同時多発したという情報もあってまだはっきりせず、広がる速さも尋常ではない。現在では人→人感染で拡大していると考えられます」

 SARSが流行った20年近く前と現在では、中国での人々の移動量は激増している。その影響に加えて、感染には中国特有の衛生環境や自然環境も影響していると考えられるので、日本でも同様に感染が拡大するかどうかは現時点では不明だ。やみくもに恐れるべきではないだろう。

【2】感染リスクを減らすために「できること」は何か

 新型コロナは「飛沫感染」と「接触感染」をすることがほぼ確定的とされる。飛沫感染とは、感染者が咳やくしゃみをしたときに口から出る霧状の水滴(飛沫)にウイルスが含まれ、それを吸い込むことで感染すること。咳やくしゃみのときだけでなく、呼気に含まれる水分にもウイルスは存在する。

 一般的にウイルスは口腔内に入ると粘膜から数分~20分程度で細胞に侵入していくので、うがいはよほど頻繁にしないと効果がないとされている。むしろ、医療関係者からは水やお茶などを頻繁に飲むほうが、その他の風邪と同様、予防に役立つとの意見も出ている。

 一方の接触感染は、飛沫がドアノブや手すりなどについたり、あるいは非感染者の顔や手、髪などについたりして、それを手で触れ、食事や化粧、喫煙などで口周りを触れてウイルスに感染することを言う。

 一般で市販されているマスクには、飛沫を吸着する製品もあるが、鼻や口の横には隙間ができるし、飛沫を吸い込むほど近い距離にいるということは、顔や髪、手、服にも飛沫が付着していると考えられる。マスクの効果が「限定的」とされるのはそのためだ。

「基本的にはインフルエンザの予防法と同じで、あまり効果は期待できませんが、家に帰ったら手洗いをする、できればシャワーで顔や髪、体を洗い流すくらいしか、予防法としてはありません。死亡しているのは高齢者や心臓や腎臓などの持病をもつ人が多く、そういった人は極力、不要な外出を避けることです」(外岡氏)

 ただ、コロナウイルスにアルコール消毒は効果があるとされる。バスやタクシーなどの乗り物や、ホテル、飲食店などではアルコール消毒を徹底することで、接触感染を減らすことは可能と考えられる。

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