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2020.02.12 07:00  マネーポストWEB

新型コロナ蔓延で中国経済の構造変化、成長が期待される産業も

臨時休業命令が解け、経済活動を再開させた上海市内(時事通信フォト)

 新型ウイルス肺炎の猛威が収まらない中、中国は経済活動の再開に踏み切った。中国国務院は2月8日、「疫病を科学的に防ぎ、コントロールし、企業の生産開始を秩序立てて上手くやるための業務を切実に強化することに関する通知」を発表した。

 居住区の出入りを厳しく制限するなど、群衆の隔離を進めることで感染拡大を防ぎ、検査能力の強化、企業内で感染予防を徹底させるといった対策をしっかり行った上で、交通網を通常の状態に戻し、従業員の職場復帰を促す。疫病の防止・コントロール、エネルギー供給、交通物流、都市公共サービス、医療用物資、食品など生活に必須となる製品、サービスの供給は重要である。飼料生産、流通小売などを含め、こうしたところから優先的に生産活動を再開させる方針である。

 患者数の増加が止まらない状態での生産活動の再開である。経済面への影響を考えると、全国規模でこれ以上、生産を止めておくことは難しい。中国経済は、まだしばらくの間、緊迫した状態が続きそうだ。

 ただ、中国の株式市場は金融当局による大量の流動性供給や、経済支援策への期待の高まりなどから、堅調な値動きとなっている。上海総合指数は先週前半の急反発後、高値圏で推移している。

 中国本土市場では予想通り、新型ウイルス肺炎関連セクターが注目された。具体的には、マスク、抵抗力を強める薬、風邪薬、ワクチン、ゲーム、EC取引、カップ麺、スナック菓子、出前などの株価が上昇した。

 こうしたセクターでは、業績への影響は一時的だと思われるが、一方で、今回の感染拡大を通じて経済環境が変化し、それに伴い長期的に成長が加速しそうなセクターもある。以下に代表的な3つのセクターを紹介しよう。

 1つめは、オンライン医療関連である。冬のこの時期、発熱する病人は多い。患者側からすれば新型ウイルス肺炎である確率は低く、病院に行くことで逆に感染してしまうリスクがある。医療機関側からすれば、多数の患者が一度に訪れた場合の対応が難しい。インターネットを通じた問診、適切な医療機関への誘導などのサービスの充実が望まれる。

 平安保険(02318)傘下の平安健康医療科技(01833)がオンライン医療サービスとしては最大手である。

 2つめはクラウドオフィス関連である。製造部門は難しいだろうが、管理部門、たとえば経理、総務、企画、マーケティング、調査、人事、営業サポートなどでは、必ずしも出社せずとも業務を行うことができるだろう。自宅勤務を可能とすることで、企業側は交通費、一部の固定費を削減することができ、従業員側は病気の感染を防げるだけでなく、子育てや、家事、余暇の拡大などの面で大きなメリットがあるだろう。

 情報のやり取りをサポートする微信を提供するテンセント(00700)、クラウドを利用したビデオ会議システムなどを展開するズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM、NASDAQ)、文章作成ソフトなどを開発するキングソフト(03888)などが、注目されている。

 3つめはオンライン教育関連である。学校教育はオンラインと相性が良い。中国は国土が広い。人口密度の低い僻地における学校教育は、通学距離の長さや教師不足から、都市部と比べ学生の負担が大きい。今回は特殊な状況によってオンライン教育の重要性が認識されたわけであるが、中国は本来、オンライン教育への需要は大きい。

 オンライン教育関連の注目企業は、オンライン教育サービスを提供する拓維信息系統(002261)、インターネット・プラットフォームの運営を行う焦点科技(002315)、教育用多機能パネルを製造する広州視源電子科技(002841)などである。

 2003年のSARS騒動の際には、それがEC取引を大きく成長させる一つの要因となった。今回の騒動では、社会的インパクトはさらに大きく、こうしたサービスが大きく成長する原動力になる可能性もあるだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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