血管が硬くなる動脈硬化は、多くの中高年が抱えるリスクだが、そこへ気象変化というストレスが加わることで、脳卒中や心臓病など命にもかかわる病気の引き金になるのだ。
「もう1つ気象病の大きな要因は気圧です。気圧の変化は気温ほど実感がありませんが、低気圧が近づいて気圧が下がると、耳の奥にある内耳の圧センサーが働いて交感神経を刺激します。体は緊張状態になり、イライラしたり痛みを感じやすくなったり。血圧も上がります。
腰痛、神経痛、尿路結石による痛みの発作、メニエール病のめまい、難聴などの発作、頭痛や吐き気を伴う緑内障発作なども、気圧の変動が引き金になることがあります」
近年の研究では、認知症など高齢者の記憶や認知機能にも気象変動が影響することがわかってきた。
「2018年にアメリカ、カナダ、フランスの高齢者(認知症の人、そうでない人も含む)約3300人を対象に実施されたコホート研究によると、記憶や認知機能がもっとも下がるのが春分の前後、ちょうど3月頃。逆に高くなるのは秋分前後で、その差は4.8年の老化に相当したといいます。
そのメカニズムはこれからの解明が待たれるところですが、認知症にも季節による変動があり、冬から早春にかけては低下しやすいと心得て、手厚いケアを心掛けるとよいと思います」
同調査では、認知症でない人にも季節性の変化が顕著に見られたというのも注目だ。
ちなみに、日照時間が短い冬にうつが多くなること、4月頃から急激に増える紫外線が白内障や皮膚がんの要因になることも、覚えておこう。
※女性セブン2020年2月27日号