〈王氏へのインタビューは、野村克也氏(享年84)が急逝する1週間前に行なった。その後、王氏は「まさかと思いました。同じ時代を悪戦苦闘しながら戦った戦友が亡くなるのは残念で仕方ない。戦っている中で葛藤がある。ノムさんにもあったと思う。(天国で)カネさんと色んな話をしてほしい」と談話を発表した〉
カネさん(金田正一氏)や野村さん、長嶋(茂雄)さん、僕が入った頃の野球に比べて、今はどんどんレベルが上がり、野球が変わってきています。時代の変化に合わせて変えるべきことはたくさんあるが、変えてはいけないこともある。
変わらないのは、自分のやることに絶対的な信念を持って取り組むこと。カネさんも、野村さん、長嶋さん、張本(勲)にしても、自分なりの“型”を持っていた。今は情報が多い時代ですが、自分の“型”をよりよいものに磨くことが大切です。
カネさんなら今の時代に投げても成績を残したでしょうね。走り込みや柔軟性で基礎を作り上げたうえで、今の時代に合う「工夫」をしていたと思う。
若い選手には、もっと「工夫」が必要だと言いたい。僕もキャンプでは、ソフトバンクの選手に「今年は2020年型の野球をやらないといけない」と話しています。勝つためには、去年と同じじゃダメなんです。
今年は五輪の年で、野球界にとって勝負の年です。野球が正式種目に復活するけど、今大会で終わりにしてはいけない。五輪も球界も大いに盛り上げていきましょう。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号