タワマンの家賃と購入者が払うローン等の額は、どちらの負担が大きいのかということは、多くの方が興味を持つところだろう。物件によって差はあるが、たいていは家賃のほうが高く、分譲のほうがメリットが大きいといわれるが、その差は1割台と僅かなケースもある。
ただ、購入した場合はローンを払い終えると完全な所有権を得られる。35年ローンなら入居した35年後に完全に所有権を得られるわけだが、当然ながら、そのときは「築35年のマンション」だ。
私は、タワマンに憧れて住みたがる人が相談にやってくると、「まずは賃貸で何年か住んでみてはどうですか?」とアドバイスすることにしている。それで、本当にタワマン生活が自分に合っていると感じ、何十年もローンを払い続ける価値があると納得できれば、購入を真面目に考えればいい。
しかし、タワマンに合わないタイプの人も多いはずだ。
例えば、タワマンの戸境壁は「乾式」といってコンクリートが入っていない。ちょっと厚めの石膏ボードみたいなもの。お隣で掃除機をかけていたり、壁際でくしゃみをされたりすると、その音が漏れてくる。
「僕は60万円も家賃を払っているのに、なぜ隣の人のくしゃみを聞かなければいけないのか?」
以前、都心の超高級タワマンの賃貸居住者もそう言っていたが、ローンを組んで何千万円、あるいは数億円のタワマンに住んでいる方ならなおさら。隣人のくしゃみを聞きたくないという価値観をお持ちなら、購入はお勧めしない。
あるいは、毎朝エレベーター待ちでイライラすることに堪えられなくなる可能性もあるし、小さな子どもを育てている家庭なら「ママ友」のコミュニティに入らざるを得ないだろう。タワマンの購入居住者はヒエラルキー意識と承認欲求が強いと思われる。常にマウンティングを仕掛けられるママ友コミュニティに嫌気がさす人もいる。
しかし、そういうことも賃貸で「お試し居住」を経験してみれば分かる。