そして、タワマン自体の耐用年数も大いに問題だ。タワマンはその建築構造上の理由で15年に1度程度の外壁補修を含む大規模修繕工事が必要だ。それにかかる費用は通常型マンションの2倍から3倍といわれる。だから修繕積立金も通常型の2倍から3倍の負担になる。現役のうちはそれも払えるだろうが、年金生活になった時にはどうなのか。
多くのタワマン管理組合では、築30年ごろに行うべき2回目以降の大規模修繕工事の費用が足りなくなると予測されている。そういう場合は各区分所有者に数十万円から100万円単位で一時金の支払いが求められることも想定される。年金生活者にとってはかなり重い負担となろう。
賃貸住まいなら、大規模修繕工事などのために追加費用を払う義務はない。いまの日本の借地借家法は賃借人側に有利な形になっているので、家賃の一方的な値上げなどはあり得ない。仮に家賃の大幅なアップを提示されても、気軽に住まいを変えることも可能だ。
また、高層階だからといって、通常階より著しく高い家賃が設定されていることもない。賃料は基本エリアの相場で決まっているので、30階や40階の住戸でも、月額賃料は10階住戸の1~2割増し程度である場合が多い。
そもそも、タワマンの最大のメリットである「高層階からの眺望」も、同じ風景を2年も見ていれば飽きる。しかし、ローンを払い終わるのはその33年先。賃貸なら2年後に引っ越して窓の外の風景も変えられる。
こうしてあれこれ考えていくと、タワマンとは購入して住むよりも、まずは賃貸居住で経験してみるのが良いのではないかと思う。