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【著者に訊け】古矢永塔子氏 おいしい小説大賞受賞作を語る

古矢永塔子氏が「おいしい小説」を語る

【著者に訊け】古矢永塔子氏/『七度笑えば、恋の味』/小学館/1500円+税

 山本一力、柏井壽、小山薫堂各氏を選考委員として新設された「日本おいしい小説大賞」。その第1回受賞者となった古矢永塔子(こやなが・とうこ)氏にとって、「おいしい」とは?

「うーん。私はずっと夫や子供のために食事を作ってきたので、みんながそれをおいしいと言って食べてくれることが、自分が食べる以上においしくて満たされることかもしれません」

 受賞作も、第1話「鮭と酒粕のミルクスープ」から最終話「たっぷり山葵のみぞれ鍋」まで、心にも体にも優しい品々が各章題に並ぶ全7話仕立て。わけあって顔を隠し、横浜郊外の高齢者施設〈みぎわ荘〉で働く〈日向桐子〉28歳が、周囲に対して徐々に心を開き、自分を取り戻していく過程を、その折々に背中を押してくれた料理と共に描く。

 中でもみぎわ荘きっての不良老人〈匙田さん〉が近所の居酒屋の厨房を借り、サッと作ってくれる料理のウマそうなこと! だがまさかその「おいしい」が 44歳差の恋に発展するとは、選考委員にも予想外だった!?

「私もさすがに72歳は無理があるかと思って娘に聞いてみたんです、『おじいちゃんより年上だけど、ヘン?』って。そしたら『イケメンなら関係ない』と、10歳の娘が即答でした!(笑い)」

 その娘にせがまれ、毎年彼女を主人公にした絵本を誕生日に贈ってきたことが、創作の原点だったという。

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