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2020.03.09 07:00  女性セブン

山口恵以子氏、在宅医と共に自宅で看取った母の最期振り返る

実はいま、山中さんは山口三の長兄の主治医も務めている(撮影/横田紋子)

山口:でも亡くなる2か月前には脳梗塞の症状があり、迷った末に救急車を呼んだことがありました。自宅で看取ると決意して母を連れて帰り、まだ1週間しかたっていないのに。ここで病院に行ったら、母が精神的ダメージを受けるのではないかと悩みましたが、家に来た看護師さんに「そんなことを言っている場合じゃない」と言われて、覚悟を決めて救急搬送してもらったんです。幸運なことに精密検査で異常が見つからず、すぐ自宅に戻れましたが。

山中:あのとき山口さんは悩まれていたけれど、当然のことですよ。逆に、病院に行かずに何かあったら、後悔したかもしれません。つまり、医療の選択ってすべて結果論なんですよね。何が正しいか、答えなんてないんです。

山口:私、母がこんなに早く亡くなるとは思っていませんでした。急に寝たきりになり、あっという間にいろいろ事態が変わるなかで、延命治療について決めなければいけなかったりして。ただ母とは仲がよかったので、何をいちばん望むかを知っていました。痛くないよう、苦しまないようにしたいという思いだけは変わらずにありました。

山中:それだけわかっていれば充分だと思いますよ。結局、事前に「胃ろうをしない」「点滴は入れない」などと決めていたとしても、「やっぱり胃ろうをお願いします」と言われることもあります。でも、それはわがままじゃなくて、やっぱりその場にならないと決められないことってあるんです。

山口:状況に応じて考えは変わるってことを、あのときは実感しました。

山中:人間ですから変わって当たり前。一度決めて気持ちが変わったら、また考え直せばいいんです。そのときに医療者は上から目線で「○○であるべき」と言うのではなく、患者さんやご家族の気持ちに寄り添うことが大事だと思います。だってご本人やご家族が誰よりも気持ちや体の状態のことも知っているんですから。山口 私は山中先生と考えが一緒だったから本当によかった。

山中:例えば、私は終末期の患者さんには栄養点滴をすすめません。なぜなら延命効果はほとんどないし、患者さんを苦しめることがあるからです。体が浮腫んでパンパンになるから今度は利尿剤を入れて、のくり返しです。でも亡くなる数日前にほんの少し点滴を入れてあげることで「最後のご飯を食べられた」とご家族が満足されることもある。そこはもう、医学的にこうあるべきという範疇ではなく、その時々の“ご本人とご家族の思い”なんですよね。

◆人は病気で亡くなるのではなく誰しも最期は死ぬもの

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