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2020.03.09 15:00  マネーポストWEB

父の遺言書には「長女に任せます」、弁護士が無効と判断したワケ

遺言書の「内容の不備」を防ぐためには?(イメージ)

 老親が亡くなったとき、親族がいがみ合う“争続”は避けたい――そんな時に頼りになるのが「遺言書」だ。子が親に対し、元気なうちに遺言書を書くようにと頼み、親が準備する例も多いだろう。

 しかし、せっかく書いてもらった遺言書が「無効」になるケースがある。名古屋市在住の女性(56)が語る。

「我が家では、長女の私が父親と一緒に実家で暮らし、次女の妹が結婚後は離れて生活していた。父がまだ元気だった10年ほど前、母が亡くなって妹が実家に帰ってきたときに、家族で『お父さんが亡くなった後も、財産のことで揉めないように』と話し合って、遺言書を書いてもらった。

 それで安心かと思っていたのですが、1年前に父が亡くなり、遺言書を開けてみると『長女に任せます』とだけしか書かれていなかった。弁護士には、遺産分割協議を長女に任せたのか、全財産を託したという意味なのか判断がつかないので、遺言書は無効だと言われた。

 父は生前、『姉妹で仲良く半分に分けろ』と話していましたが、父の財産は、私と同居していた実家の不動産が大半で、貯金額は少なかったんです。妹は『もっと遺産があると思っていた。実家も現金化して半分に分けられないか』と言い出した。まさかこんなことになるなんて……」

 この女性の場合、父親の遺言書に「内容の不備」があったことが、無効になった原因だった。『夢相続』代表で相続実務士の曽根恵子氏が言う。

「遺言書では『〇〇に託します』『〇〇に任せます』といった曖昧な文言は無効になります。他にも『〇月吉日』と日付を書かない人は意外と多いですが、『令和〇年〇月〇日』まで書かなければ有効とみなされません」

 ミスを防ぎたいが、遺言書の書き方を一から勉強するのはハードルが高い。そこで、専門家に確認してもらう方法がある。

「遺言書には、大きく分けて本人が自ら記す『自筆証書遺言』と、公証役場で作成する『公正証書遺言』がある。後者は弁護士などの公証人に頼むためミスを防ぎやすいが、数万~10万円程度の費用がかかる。

 自筆証書遺言は、今年7月から法務局で管理してもらえる制度が始まります。これにより、法務局の窓口で内容の不備を確認してもらえます。費用は自治体によって異なるが、数千円の手数料で済む見込みです」(曽根氏)

※週刊ポスト2020年3月13日号

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