甲子園は熱狂的な応援で有名だが…

 サッカーは熱狂的なファンが多く、サポーターの大歓声を受けるホームチームの勝率が高くなる傾向が強い。「応援が力になる」が本当なら、無観客試合ではホームチームの勝率が下がるはずだ。

 ところが、安部氏の研究によれば、同年のメキシコのサッカーリーグでは、「観客がいても、いなくてもホームチームの勝ち点数、ゴール数に変化はなかった」のである。つまり、“ファンがいなくてもホームチームは強かった”のだ。同研究ではホームチームが有利になる要素として、長距離移動がない「移動因子」、施設の大きさ、特徴などを熟知している「習熟因子」などがあることに触れている。サンプル数が限定されている研究ではあるが、スポーツファンの“常識”を覆す内容だ。

◆応援されると失点が増える

 社会心理学者で東筑紫短大教授の釘原直樹氏(大阪大学名誉教授)は、「応援には私たちが思っているほどの効果はありません」と断言する。釘原教授が紹介するのは、旧帝国4大学の体育会ソフトテニス部に所属する男女72人を対象に行なわれた調査だ。

 2010年に発表されたこの論文では「応援と失点」の関係について調査している。試合の重要度や局面の有利、不利など複数の条件に分け、「応援がある場合」と「ない場合」とで失点する確率を比較しているのだ。

「実験前に聞き取り調査をすると、『どんな場面でも応援があったほうが失点は少なくなると思う』と答える選手が多かった。つまり、選手は“応援でパフォーマンスが向上する”と考えていたわけですが、実際のゲーム場面のデータを分析すると、結果は全く違うものになりました。

 実際には、多くの局面で応援があってもなくても失点確率に影響はなく、局面によっては、応援があると失点確率が高かったのです。選手たち自身が考えているのとは逆に、どちらかといえば応援は選手のパフォーマンスを阻害する傾向が強いといえるでしょう」(釘原教授)

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