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2020.03.18 12:32  太田出版ケトルニュース

S・キングとM・ギャリス 似た者同士だった2人は初対面から意気投合した

『ケトルVOL.52』(スティーヴン・キング特集/太田出版)

昨年秋公開の『IT』『ドクタースリープ』、今年公開の『ペット・セメタリー』と、作品の映像化が続くスティーヴン・キングの最高傑作と誉れ高い作品が『シャイニング』。スタンリー・キューブリックの映画版に「原作とは似ても似つかない」という不満があったことから、キング自ら監修したTVドラマ版の『シャイニング』で監督を務めたのがミック・ギャリスです。

キング原作の映像作品を多く手掛けており、よく「キング作品といえば」と紹介される常連監督ですが、2人の関係の始まりは30年近く前にさかのぼります。1992年の『スリープウォーカーズ』が初タッグでしたが、「我々はすぐに意気投合した」とギャリスは振り返っています。

「彼と私は非常に生い立ちが似ていて、小さい頃に親が離婚して共に母親に育ててもらった。同じ映画、本、TV番組を観て育っていて、彼の方が年上だけどほぼ同じ世代なんだ」(※2012年のプチョン国際ファンタスティック映画祭でのインタビューより)

しかも、ギャリス自身が作家も兼ねていることから、キングの小説で一番大切なのは、「ストーリーというよりもキャラクターの深み」と見抜き、それを映像で忠実に再現することが自分の役割だとも語っています。背景にあるカルチャーの共通点(共にロックバンドを結成していたこともある)のみならず、原作への理解の深さでキングの信頼を得たギャリスは現在、ホラー映画の第一人者として知られ、2006年のニューヨーク・シティ・ホラー映画祭では生涯功労賞を受賞しています。

2人はマイケル・ジャクソンのミュージックビデオ『ゴースト』にも関わっています。1990年代半ば、大ヒットした『スリラー』を超える規模のビデオを作ろうとしていたマイケルは、再びホラーを題材にすることを決意。キングと共同で脚本を執筆したことが知られていますが、その監督に抜擢されたのがギャリスでした。

しかし、『ゴースト』はさまざまなトラブルにより制作が中断。3年後に再開したときにギャリスは『シャイニング』の撮影中だったため、特殊効果を担当したスタン・ウィンストンが完成させます。残念ながら降板することになったものの、実はマイケルにギャリスを推薦したのはキングだったそうで、2人の関係の深さを知ることができるエピソードとなっています。

◆ケトルVOL.52(2020年2月16日発売)

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