厚労省の大坪寛子・大臣官房審議官(時事通信フォト)

 休校は首相の「独断」だとされる一方、裏の指南役の存在も囁かれる。それが首相の補佐官と秘書官を兼務する今井尚哉である

 新型肺炎対策に乗り出してひと月半あまり、なぜこのような無茶な政策を連発してしまうのか。長期政権の末期症状を露呈しているかのようだ。いまや政権は内部崩壊の様相を呈している。

◆菅─和泉─大坪ライン

 すでに1月15日の段階で新型コロナ感染者を検疫時に隔離する「指定感染症」と定めた台湾の蔡英文政権に比べ、いかにも日本政府は暢気に構えていたように見える。多くの日本国民が新型コロナウイルスの脅威を知ったのは、台湾に遅れること1週間後の1月下旬だ。だが、日本政府が中国や台湾の動きを知らなかったわけではない。

「武漢の日本企業から新型肺炎の情報があがってきており、少なくとも外務省や厚労省には、危機感がありました。だからこそ1月29日に武漢にチャーター便を飛ばせたのです。しかし、その後がまずかった」

 そう嘆くのはある政府の関係者だ。閣議決定により、首相官邸に新型コロナウイルス感染症対策本部が設置されたのは1月30日のことだ。この翌日には東京高検検事長の定年延長も官邸主導で閣議決定している。

 そのせいで後手に回ったわけではあるまいが、コロナ対策本部は安倍首相を本部長とし、副本部長に菅官房長官と加藤勝信厚労大臣が就いている。事務方としてその下に新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会を置き、内閣危機管理監の沖田芳樹元警視総監が議長、厚労省からも医官の鈴木康裕が副議長に就いた。が、幹事会の主眼は治安や安全保障であり、医療分野に関する対策としは機能していない。

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