国内

コウケンテツ、料理が苦痛な人はまず1品減らしてと助言

家庭料理の在り方を見直すコウケンテツ氏(撮影/平野哲郎)

 料理研究家のコウケンテツさん(45才)は、料理について相談されることが増えているという。多いのが、「1日3食献立を考えるのが大変なんです」という訴え。一般的に、日本人には“1日30品目とるのが理想的”、“一汁三菜は家庭食の原点”などといった共通認識がある。それを毎日…と考えると、作る側にとってはたしかにかなりの負担である。

「日本ほど品数が豊富でバリエーションに富んでいる家庭料理なんてほかの国にはありません。日本の家庭料理は世界でナンバーワン。ハイスペックすぎるんです」

 そうコウさんは言う。なぜ日本では、苦労をしてまでバラエティーに富み栄養面で充実した料理を作ることが理想とされてきたのだろうか。背景には、“専業主婦”の存在があるという。

「高度経済成長期、女性が家で男性を支えることに専念するよう、専業主婦のすばらしさが奨励されたのでしょう。それに伴って“主婦たるもの料理ができて当たり前”というイメージが醸成され、料理のハードルがどんどん上がっていったのだと思います」(コウさん・以下同)

 しかし、料理をはじめ家事=女性の仕事という時代は、ここ数十年の話。江戸時代の庶民は、男性も家事や子育てを担い、夫婦が協力して家庭を支えていた。

「夫婦のあり方は時代に合わせて変化してきました。いまは、外で働く女性が増えているのに、家事はそのまま女性の仕事として残っているのは矛盾している。料理の担当や内容だって変化して当然のはずなのに、なぜかそのままになっているんです」

 株式会社ワコールが5~18才の女子3963人に行ったアンケートをまとめた「10歳キラキラ白書」では「女子は男子よりも料理が上手にできた方がよい」と考える10才の女子は、85%にのぼる。女性が料理を担うという意識が子供たちの中にまで刷り込まれているのだ。

「海外では男性も料理をするのが当たり前。日本では家庭料理のハードルが高くなりすぎて、女性も男性も料理を楽しめない状況になっています。外国では宅配ピザをお父さんが注文しただけで、“今日はパパが料理を用意してくれた!”となる家庭もありました」

 かくいうコウさんも、かつては“ご飯はやっぱり手作りがいい”と声高に叫んでいた時期があった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン