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2020.03.26 10:01  産経ニュース

覚醒剤密輸で「ショットガン方式」横行 小分けで運搬、民泊悪用も

覚醒剤密輸で「ショットガン方式」横行 小分けで運搬、民泊悪用も

 覚醒剤の密輸をめぐり、散弾銃になぞらえた「ショットガン方式」と呼ばれる手口の摘発が目立っている。小分けにした違法薬物を空路で複数の運搬役に持ち込ませて監視の目をすり抜けようとするもので、東京税関による昨年の摘発は件数・押収量ともに過去最多を記録。警視庁などが摘発した密輸事件からは、巧妙に組織化された密輸グループの全容が浮かび上がる。(玉崎栄次)

互いに面識なく

 昨年7月、羽田空港に覚醒剤を密輸したとしてタクシー運転手(36)ら24~38歳の男4人が警視庁組織犯罪対策5課と羽田税関支所に現行犯逮捕された事件は、典型的なショットガン方式による犯行だった。

 押収されたのは、約33万回分の使用量に当たる計約10キログラム(末端価格約6億円相当)。4人は同じ便に搭乗し、中東ドバイからマレーシア経由で入国。それぞれが現地で覚醒剤が隠匿された箱を受け取り、自前のスーツケースに入れて帰国した。搭乗時の座席は互いに離れ、面識もなかった。

 密輸グループにとって摘発されるリスクが高い運搬役は「使い捨て」だ。多くの場合、SNS(会員制交流サイト)で勧誘され、捜査関係者は「若い世代や金に困った人間を標的に目先の利益をちらつかせて勧誘している」と話す。

SNSで「運搬役」勧誘

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 4人も昨年5月ごろ、こうしたツイッター上の募集に応じていた。今年2月には、グループの上位に位置する男3人が覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で逮捕された。そのうちの1人、宗武(そう・たけし)容疑者(41)=職業不詳=は運搬役を募集する立場で、4人の航空券の手配も行っていたとされる。

 残る2人のうち竹内忍容疑者(41)=職業不詳=は、運搬役が覚醒剤を持ち逃げしないように監視役として同じ便に搭乗。四條敏英容疑者(37)=同=は4人に渡航費を届ける役割を担っていた。ほかにも海外にも覚醒剤の調達などを行う協力者がいるとみられ、グループ内で細かな分業がなされていることが分かる。

インバウンドの影で…

 小分けにした違法薬物を複数の国際貨物便に隠し、国内の特定の場所に発送する手口も、ショットガン方式のバリエーションの一つとして確認されている。中でも、インバウンド(訪日外国人客)需要で普及した民泊施設が、受取場所として悪用されるケースが目立っているという。

 東京税関が昨年8月に摘発した覚醒剤密輸事件では、東京都周辺の複数の民泊施設が送り先として使われた。玩具を箱詰めしたように偽装した段ボールに約2キロの覚醒剤を隠匿し、米国から発送。約1カ月の間に計8回に分けて、五月雨式に届くようにしていた。

 関与していたのは外国人密輸グループ。東京税関によると、以前はホテルでの受け取りが主流だったが、近年は民泊施設が目立つようになった。税関幹部は「外国人が出入りしても怪しまれにくいと考えたのだろう」と指摘する。

 海外から日本へ荷物を発送後、密輸グループの一員が来日して民泊施設に滞在して荷物を受け取り、国内の密売組織側に渡した後に出国する。日本での滞在が短期間で済むため、摘発のリスクを下げる狙いがあるとみられる。

押収は過去最多に

 税関が水際で密輸の取り締まりを担っているが、摘発には「1件に相応の人員を要する」(税関関係者)のが実情。犯行グループにとってショットガン方式は、「数をこなす」ことで摘発をすり抜ける確率を上げられる利点があるとされる。

 東京税関によると、昨年1年間に摘発した航空機の旅客による覚醒剤密輸は179件で、押収量は348キログラムに上った。件数・押収量とも前年比2倍超となり、過去最多を記録。税関幹部は「密売組織が国内の供給量確保のために、空港経由の密輸を活発化させている」と警戒を強めている。

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