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競馬中継「パドックでの状態を踏まえた推奨馬」の勝率は?

無観客での開催となった中山競馬場のパドック(2020年3月1日)

 GI高松宮記念も無観客で行われることになった。馬券予想において下見所、つまりパドックを重視するファンとしては思案のしどころ。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
「無観客競馬」ということで、パドックでの様子はテレビで確認するしかない。この際無料で視聴できるグリーンチャンネルを大いに活用したい。

 解説者が「入れ込み気味」とか「落ち着いている」、「前進気勢がある」「踏み込みが深い(浅い)」と言うのは、実際にパドックを見ていても感じることだし、テレビ画面を見ればなるほどと思うことはある。パドックで見る場所によっては毛艶の良し悪しも分かるかもしれない。 

 しかし「体がスッキリしてきた」「馬体に身が入ってきた」となるとどうだろう。さらに「重っ苦しい」「緩さがある」などは、画面を見てもすんなりとは入ってこない。首を上下に振っていたりしていても「少しうるさいですが、いつもこんなもの」とか「この程度なら許容範囲」と言われてしまうと、なおさら分からない。ましてや「馬体にメリハリがある」「仕上がり切ってしまった印象」という抽象的な表現になると、もう手に負えない。「好感が持てる」「いい雰囲気」「楽しみ」となると完全に解説者の主観だ。

 平常時のパドックで(しかも4階5階から)知人同士「毛艶がピカピカだな」とか「気合が入っているな」と話しているのをたまに耳にするが、それはパドック解説での独特の言い回しが記憶にあるからだ。

 毎日トレセンで追い切りを見ている競馬記者にしてみれば、それは長年の経験から掴み取ったものなのだろう。他の記者が見ても同じように感じることがあるに違いない。しかし我々は、分かったような気になって馬券を買う(投票する)わけにはいかないのだ。

 パドック解説は、まず出走馬についてひととおりの評価をし、まとめとして「パドックでの状態を踏まえた推奨馬」を、出走頭数によって3~6頭、推奨順にあげるのが基本だ。前半は5レースまで、後半は6~12レースと1場あたり2人の記者が担当する。

 3月20~23日の3日間競馬で、この「推奨馬」は平地競走69レース中47レースで勝っている。勝率は7割近い。

 実に3回に2回は的中している、と聞けばさすがと思うが、これはあくまでも3~6頭あげたうちの1頭が勝ったというだけ。1番手にあげた馬が勝ったケースになると14回で勝率はおよそ2割だった。しかもそのうち12回は1番人気馬、あとの2回は2番人気馬だ。

 そもそも1番人気馬は69レース中67レースで「推奨馬」にあげられており、2番人気も65レース。この数字を見て「とりあえず上位人気馬をあげておけば無難なのだろう」という意地悪な見方もできるが、状態がいいからこそ上位人気に推されたとも言える。ちなみに推奨されなかった1番人気馬2頭は、いずれも連対を外している。

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