芸能

志村けんさんの活躍はTV以外も、笑わせ泣かせた舞台での姿

志村けんさんは、舞台でも活躍した(写真/時事通信社)

 新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった志村けんさん(享年70)。コメディアンとしてテレビを中心に活躍した志村さんだが、舞台では意外な姿も見せてきた。志村さんを何度も取材してきたコラムニストのペリー荻野さんが振り返る。

 * * *
 志村けんさんが亡くなった。多くのメディアがその功績を報じているが、テレビでの活躍が大半なので、ここではあまり紹介されない舞台での志村さんについて書きたいと思う。
 
 志村さんに私が初めてインタビューをしたのは、2006年、念願の座長公演『志村魂』の初めての上演が決まったタイミングだった。舞台のメインの演目のひとつが人気キャラクター「バカ殿様」のコントだったため、時代劇研究家を名乗り、バカ殿様の大ファンでもある私に声がかかったのである。

 舞台で共演するダチョウ倶楽部の面々も交えての楽屋でのインタビューであったが、志村さんは、「飲みに行きたいから、早くインタビュー終わってくれ~」と言いつつも、ずっと観客の前でコントをしたいと考えていたこと、松竹新喜劇の芝居をしたいと思っていたことを静かに語ってくれた。自信満々というより、舞台に立たせていただくという謙虚な姿勢が強く感じられた。以来、欠かさず公演を観てきたが、『志村魂』は、一部がバカ殿様を一時間ほど、そのあとショートコントが続き、二部はずっと続けてきた三味線演奏、三部は松竹新喜劇の芝居という基本的な構成は、公演を重ねても変わらなかった。

 バカ殿様の面白さはご想像の通り。桑野信義演じるまじめ家老とダチョウ倶楽部のおとぼけ家臣三人組とのズッコケぶりは息があっているし、「そなた、名は?」「さやかと申します」「ああ、くさやか。そのお尻には何が詰まっておるのだ?」「夢と希望でございます」などという腰元(磯山さやか)とのやりとりにも大いに笑わせてもらった。

 そして毎回感動したのが、芝居だ。聞けば、志村さんは松竹新喜劇で活躍した昭和の喜劇スター・藤山寛美さんを尊敬していて、いつか自分もその作品を演じてみたいと思っていたという。その寛美さん十八番演目のひとつで『志村魂』が何度かとりあげた芝居「一姫二太郎三かぼちゃ」で、志村さんは、実家に残ってコツコツと働く三男・三郎を演じた。母親の喜寿の祝いのために都会から帰ってきた兄弟たちにバカにされ、悔しさをにじませる三郎。それでも懸命に家族を助けようとする彼の姿に、涙する観客も多かった。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン