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2020.04.04 16:00  マネーポストWEB

物欲が少ない人生も悪くない 有事の際に際立つ「ケチ」の強さ

“ケチな生活”に助けられることもある(イメージ)

 新型コロナウイルスの影響で仕事が吹っ飛び、預貯金を切り崩す生活に入った人もいることだろう。また、容赦なく襲ってくるローン支払いに悲鳴を上げている人もいるかもしれない。そんな中、「自分はケチで物欲がない人生を送り続けてよかった」と考えているのがネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏は「ミニマリスト」ではないが、「物欲が極端に少ない」「ケチ」な生活を送り続けたといい、おかげで現在の生活が助かっているという。

 * * *
 去年亡くなってしまった57歳の友人は、地方公務員で年収は600万円ほどあり、家賃2万円の公務員住宅に住む男性でした。恵まれた生活ではありますが、彼はまったく預金がなかったのです。「オレはちゃんとした収入があり、住宅費も安いし、退職後も手厚い年金があるから預金がなくても大丈夫だ」と言っていました。

 しかし、彼は亡くなる数年前から病気を患い、早期退職せざるを得なくなりました。そんな彼の趣味がテレビ通販での買い物でした。

「今回はこの布団乾燥機に加え、特別に○○もつけて12回払い、1回あたり2980円!」みたいな商品を次々と買っていたのです。掃除機や炊飯器も最新型が欲しくなるタイプで、私にはそれらの品を見せて「下取りもしてくれるから安いんだよ~」なんて言っていました。さらにはPCを4台持っていて外付けHDやメモリーカードを大量に持っていて「余ったからあげるよ」なんてことまで言う。

 家の中はとにかくモノで溢れていて、「これ、どうするの?」と言っていた中、ある程度整理をしたうえで、公務員住宅から都営団地に引っ越した後に急死してしまいました。

 彼が亡くなってしまったことで非常に切ない思いをしましたが、その一方で、あの大量のモノを処理するにもそれなりに親族はカネを使っただろうし、はたしてあそこまでモノが必要だったのか……とあらためて「物欲」について考える機会になりました。

 そして、今回のコロナ禍です。幸いなことに私は物欲がほとんどないため一切のローンはありません。毎月出ていくカネについては、家賃光熱費を除けば携帯電話代(ガラケー)、インターネットプロバイダ代、ポケットWi-Fi代、ウォーターサーバー代ぐらいのものです。

 ゴルフもやらないしスマホゲームもやらないし、時計なんて携帯電話があればどうでもいい。女性の歓心を引くためにアクセサリーやバッグやらを贈ったことは人生で一度もないし、自分どころか他人の物欲をもスルーする人生を送ってきました。

 モノを求めるような女性と仲良くなりたいと思ったこともないし、ゴルフやらスキューバダイビングにハマった友人と付き合うこともない。「大人買い」をしたことがあるのは唯一、横山光輝の漫画『三国志』全30巻セットを買った程度です。結局、有事の際に強いのはケチであることなんだと思います。

 もちろんその他の出費がなかったわけではありません。私の場合、月に15万円ほどは飲み代に使っていましたが、この飲み会はほぼすべてが誰かから誘われたもので、ほぼ全員が自分よりも若いため多く支払うか奢ってきました。これがコロナのせいで完全になくなってしまったため、今では本当にカネを使わない。だからといってつまらないかといえば全然そんなこともなく、時間をかけてブリ大根やらキーマカレーを作る日々を過ごしています。

「これを機に米ドラマ『24』のDVD-BOXを買うか!」とか特になるわけでもなく、相変わらず淡々と自宅でできる仕事を続け、ニンテンドー3DSで『三國志』か『ドラクエV』をやる日々です。トイレでは『美味しんぼ』を読み、もっとも好きな作家である椎名誠氏と東海林さだお氏のエッセイを読む。同じものを何度も何度も読み返すことにより、自分の書く文体を確かめたり、好きな作家の考え方を自分の血肉とさせたりする効果があります。

 常に新しいものを欲しがるような性質でなくて、本当にこうした有事の際は助かっていると思います。

 暇なもんでテレビを見ていたら、一般的な「巣ごもり生活」で欲しくなってしまうようなものがバシバシと宣伝されているわけですよ。私のあの友人が健在で仕事をまだしていたらまたモノが増えてしまい、「片づけるの手伝ってくれ~」なんて悲鳴をあげていたんじゃないかな、と思ってしまいます。

 物欲って、少ないに越したことないですよ。少なければ少ないほど有事の際に困りません。もっと言うと「ケチ」は批判される筋合いのものではなく、他人に迷惑をかけない人生のスタイルだとも思います。

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